前期高齢者 かかりつけ医を 専門家 生活習慣病放置を危惧 沖縄の健康寿命急落 - 琉球新報デジタル
介護などの必要がなく健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」。3年に1度の厚生労働省の調査で、2022年の沖縄県は女性が74・33歳で46位(前回25位)、男性が71・62歳で45位(同40位)と、順位の転落が止まらない。県立中部病院感染症内科・地域ケア科の高山義浩医師は、介護の入り口にあるとも言える前期高齢者(65~74歳)が、生活習慣病を抱えていてもかかりつけ医とつながっていない現状に警鐘を鳴らす。高山医師がまず指摘するのは、早期に要介護に陥る実態だ。介護保険事業状況報告で22年の前期高齢者の要介護3~5認定率を都道府県別で見ると、沖縄は2・11%で最高。全国平均の1・5倍超だ。つまり沖縄の前期高齢者の50人に1人が自力での立ち上がりや食事、排せつなどをできない。長期にわたる介護につながり、人手不足を加速させている。
生活習慣の改善による疾病予防も大切だが、生活習慣病が放置されている問題を高山医師は危ぶむ。糖尿病や高血圧であれば、かかりつけ医を定期的に受診して自己管理することが必要だ。しかし厚労省の22年調査で、沖縄の前期高齢者の受療率は全国最低だった。生活習慣病が管理されず、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などの合併症を引き起こしている。ただし高山医師は「『かかりつけ医を持ちましょう』との呼びかけだけでは、生活習慣病を放置する人に届かない」と指摘する。沖縄の健康問題の背景には、高齢者の孤立と貧困があるという。20年の国勢調査によると、沖縄の前期高齢者の独居率は22・0%で、東京都に次いで高い。配偶者のいる率は最低。そして、前期高齢者の就労率も全国最低だ。つまり、家庭や職場での見守りがなく暮らしている高齢者が多い。
また、沖縄の無年金者の割合は6・2%(22年)と、全国平均の約2倍に上る。国民年金の平均受給額は全国最下位が続く。「高齢者の生活を支える仕組みを構築しなければ、健康管理にまで関心が向かない」と高山医師。「働ける人を働くように支援することは、貧困対策だけでなく、認知機能の維持や生活習慣病の予防になる」とも。健診異常を放置している、救急受診を繰り返している、アルコール依存の相談があるなど、高齢者のSOSに気づけるきっかけは多い。だが、市町村の保健活動は食習慣や運動を呼びかける一次予防が中心で、生活習慣病を指摘された人の合併症を防ぐ二次予防は医療任せになりがちという。医療側は、患者が受診しなければ対処できない。
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