会話をつぶす「だめ質問」 段取り上手が陥る落とし穴
だめなインタビューにはいくつかのパターンがある。最もありがちなのは、質問者がベラベラ勝手にしゃべり、取材する相手の話に耳を貸さないケース。本来は聞き手であるはずのインタビュアーが質問の形を取りつつ、自説をまくし立てたり、勝手に熱くなってしゃべりすぎたりしてしまうことも。この愚行はビジネスの現場でも結構、起きやすい。 刑事が事情を聴取するみたいに、手元のプロフィルを手がかりに、「事実確認」に終始するのも、だめなインタビューの典型だ。記者会見の終了後、当事者が席を離れる、ざわついた状況に紛れ、いきなり声を上げるおかしなレポーターもいる。「○○さんとの間はどうなっているんですか?」「一言、お願いしまーす!」と、質問にもなっていない問いを投げつけるまぬけな芸能リポーターは、雇い主に「仕事しています」とアピールしたいだけの野次馬まがいであり、インタビュアーと呼んではいけない。ところが「話を聞く」という作業がまるでできていないインタビュアーが存在する。たとえば、ゲストとして呼んだ人を前にキャスターと称する人が質問を浴びせ倒す。情けないアプローチでお茶を濁す人もいる。事前に渡されたプロフィルや、新聞・雑誌などで取材された記事を読み込むのは最低限のマナーだが、そこで話された会話をもう一度再現するように「~なんですよね」「~ですって?」と問いかけ、まるで「あの記事でしゃべったことをもう一度言ってください」と言わんばかりの話しかけはゲストと聞き手をうんざりさせる。こういう質問は、尋ねられたゲストが答える前から、答えが割れていて、興ざめを誘う。だからといって、それをいちいち確認する態度は、「あぁ、またか」と、目の前のゲストが話す意欲をなえさせ、聞かされる視聴者やリスナーもあきれさせる。取材者の「過去記事」は、本番に向けての戦略を練る一素材として考えれば有用だが、それを確認するだけにとどまったり、そのままなぞったりするような問いかけは、あらためてインタビューする意味をなくす。 せっかく収集した過去記事を「使わなければもったいない」と考えるのは愚かだ。「別メディアではこの質問が盛り上がっていたから、今回のこのトークも盛り上がるに違いない」と期待するが、実際はその逆となりそうだ。答える側から「はい」「その通りです」「よくご存じですね」「いろいろ調べてくれてありがとうございます」「私より知ってますねえ」と皮肉を口にされても仕方がない。 こういう事態は、ビジネスの打ち合わせや会議でも、しばしば起こり得る。間違いを起こしたくないから準備をしておかないとと思う「真面目な人」ほど、想定外の波乱を嫌う傾向がある。あらかじめ「落としどころ」を見定めて、丁寧に誘導の道筋をたどりながら、着地点へ導いていく「予定調和」の運びを好む。 事前に下調べを済ませてあるから、本人はそこそこ分かった気になっている。尋ねられた側がうなずくしかないような、答え方まで組み込んだ質問を投げかけて、思い描いた通りの回答を引き出し、スムーズな段取りでやりとりを進めていく。 確かに見た目の進行は円滑なのだが、こういうケースでは不思議と話そのものが弾みにくい。座を仕切っている進行役以外の人にとっては、「同調」だけを求められているような気がしてしまい、積極的に参加する意欲を保ちにくい。「お客さん」の扱いと感じてしまうわけだ。自分の発言をあらかじめ決めつけられているような印象も受けがちで、発言を盗まれたような気にすらなる。 こういう立場を押しつけられてしまった参加者は、聞かれた通りの返答でお茶を濁してしまいたくなりやすい。望まれていない趣旨の発言を差し控えようとする意識も働くから、おのずと新しい情報や意見を示すことは減る。注目記事.
だめなインタビューにはいくつかのパターンがある。最もありがちなのは、質問者がベラベラ勝手にしゃべり、取材する相手の話に耳を貸さないケース。本来は聞き手であるはずのインタビュアーが質問の形を取りつつ、自説をまくし立てたり、勝手に熱くなってしゃべりすぎたりしてしまうことも。この愚行はビジネスの現場でも結構、起きやすい。 刑事が事情を聴取するみたいに、手元のプロフィルを手がかりに、「事実確認」に終始するのも、だめなインタビューの典型だ。記者会見の終了後、当事者が席を離れる、ざわついた状況に紛れ、いきなり声を上げるおかしなレポーターもいる。「○○さんとの間はどうなっているんですか?」「一言、お願いしまーす!」と、質問にもなっていない問いを投げつけるまぬけな芸能リポーターは、雇い主に「仕事しています」とアピールしたいだけの野次馬まがいであり、インタビュアーと呼んではいけない。ところが「話を聞く」という作業がまるでできていないインタビュアーが存在する。たとえば、ゲストとして呼んだ人を前にキャスターと称する人が質問を浴びせ倒す。情けないアプローチでお茶を濁す人もいる。事前に渡されたプロフィルや、新聞・雑誌などで取材された記事を読み込むのは最低限のマナーだが、そこで話された会話をもう一度再現するように「~なんですよね」「~ですって?」と問いかけ、まるで「あの記事でしゃべったことをもう一度言ってください」と言わんばかりの話しかけはゲストと聞き手をうんざりさせる。こういう質問は、尋ねられたゲストが答える前から、答えが割れていて、興ざめを誘う。だからといって、それをいちいち確認する態度は、「あぁ、またか」と、目の前のゲストが話す意欲をなえさせ、聞かされる視聴者やリスナーもあきれさせる。取材者の「過去記事」は、本番に向けての戦略を練る一素材として考えれば有用だが、それを確認するだけにとどまったり、そのままなぞったりするような問いかけは、あらためてインタビューする意味をなくす。 せっかく収集した過去記事を「使わなければもったいない」と考えるのは愚かだ。「別メディアではこの質問が盛り上がっていたから、今回のこのトークも盛り上がるに違いない」と期待するが、実際はその逆となりそうだ。答える側から「はい」「その通りです」「よくご存じですね」「いろいろ調べてくれてありがとうございます」「私より知ってますねえ」と皮肉を口にされても仕方がない。 こういう事態は、ビジネスの打ち合わせや会議でも、しばしば起こり得る。間違いを起こしたくないから準備をしておかないとと思う「真面目な人」ほど、想定外の波乱を嫌う傾向がある。あらかじめ「落としどころ」を見定めて、丁寧に誘導の道筋をたどりながら、着地点へ導いていく「予定調和」の運びを好む。 事前に下調べを済ませてあるから、本人はそこそこ分かった気になっている。尋ねられた側がうなずくしかないような、答え方まで組み込んだ質問を投げかけて、思い描いた通りの回答を引き出し、スムーズな段取りでやりとりを進めていく。 確かに見た目の進行は円滑なのだが、こういうケースでは不思議と話そのものが弾みにくい。座を仕切っている進行役以外の人にとっては、「同調」だけを求められているような気がしてしまい、積極的に参加する意欲を保ちにくい。「お客さん」の扱いと感じてしまうわけだ。自分の発言をあらかじめ決めつけられているような印象も受けがちで、発言を盗まれたような気にすらなる。 こういう立場を押しつけられてしまった参加者は、聞かれた通りの返答でお茶を濁してしまいたくなりやすい。望まれていない趣旨の発言を差し控えようとする意識も働くから、おのずと新しい情報や意見を示すことは減る。注目記事
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
あの偉人までも BLM運動で高まる英雄像撤去の声|ナショジオ|NIKKEI STYLE米国で、かつて英雄とされた人物の銅像の撤去が相次いでいる。バージニア州は、19世紀の南北戦争で奴隷制度を支持する南部の州として戦った。その州都リッチモンドに、モニュメント・アベニューと呼ばれる大通りがある。ここにはかつての南部軍人の像が立ち…
続きを読む »
話し下手を克服するコツ学ぶ 視線は縦移動、口は開く|WOMAN SMART|NIKKEI STYLE人前でのスピーチは苦手で、録音した自分の声にげんなり。コロナ禍でオンラインなどの取材が増え、声などを意識することが増えた。喋(しゃべ)りに自信がない記者が、専門家から学んだ。東京・新橋にある「ヒューマン話し方教室」を訪ね、1時間のマンツー…
続きを読む »
劣等感も磨けば光る メルカリ山田氏の「頼る力」|出世ナビ|NIKKEI STYLE日本経済新聞電子版に連載したビジネスノンフィクションをドラマ化した「ネット興亡記」。ネットバブル崩壊、固定観念や規制の壁、組織の解体・消滅やスタートアップならではの成長痛――。登場した経営者ら本人の言葉には、逆境をはね返すための示唆も少なく…
続きを読む »
1000円前後でも実用的 試して選んだパソコン周辺機器|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE1000円で買えるヘッドセットや無線マウス、2000円前後の指紋センサーやVRゴーグル、3000円台の活動量計や外付けのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)など、安くて気になる製品が大集合。「でも、安かろう悪かろうなのでは」と心配する人もいるはず。そこ…
続きを読む »
新型コロナ重症化リスク A型はほかの血液型の1.45倍|ヘルスUP|NIKKEI STYLE新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症し、呼吸機能が低下して酸素吸入または人工呼吸器が必要になるリスクは、血液型がA型の人で45%高く、O型の人では35%低いことが、イタリアとスペインの患者を対象に行われた研究で明らかになりました。論文は、…
続きを読む »