高齢化が進み、介護現場の人手不足が深刻化する中、介護テック（テクノロジー）が注目を集めている。
厚生労働省は2024年度の介護報酬改定で介護現場のテクノロジー導入を後押しする「生産性向上推進体制加算」を新設。これは離床センサーなどの見守り機器、職員間の連絡調整を迅速化するためのインカム（無線機器）やビジネス用チャットツール、介護記録ソフトやスマートフォンなど介護記録の作成を効率化する機器を活用している介護事業所・施設にインセンティブが発生するしくみだ。
今年6月には、経済産業省と厚生労働省が「ロボット技術の介護利用における重点分野」改定を公表。新たに3つの分野「食事・栄養管理支援」「機能訓練支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」が加わり、名称が「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更された。改訂版の運用は25年からスタートする。「業務効率化や生産性向上はいずれも重要なことだと考えています。ただ、これらが『人がいなくても介護できる』で終わってしまうのは違うと思っています。生産性が向上し、時間が生まれたことで、介護施設でより豊かな生活が提供できるようになるなど、その先が重要になるはず」 こう語るのは、特別養護老人ホーム「プレミア東松戸」（千葉県松戸市）のユニットリーダー・久保昇吾さんだ。プレミア東松戸では介護ソフトはもちろん、排泄センサーやインカムなども積極的に導入。厚生労働省の介護ロボット効果測定事業の協力施設でもある。においで尿と便を検知し、知らせる排泄センサーを導入し、夜間は決まった時間におむつを交換する「定時交換」から通知をもとにした交換に変更。その結果、排泄介助・支援にかかる時間は48分減少し、「巡視・移動」にかかる時間は26分減少。その結果、「休憩・待機」の時間が14分増えたという。久保さんはこう解説する。「テクノロジーを活用することで職員の負担を減らせるのはとてもありがたいことです。でも、それ以上に重要なのは利用者さんの不快な時間を減らせるという点だと僕は考えています。『排泄があったらなるべく早く替えてほしい』『排泄がないのにおむつを開けないでほしい』といった当たり前の願いを叶えることが、当たり前の日常になっていくんです」「業務効率化をしっかり進めることで、働き方にも選択肢が広がると思います。例えば、すき間時間で働くなどの分業もしやすくなります。また、ゆ
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