フランスのマクロン大統領は、ロシア軍がウクライナで敗北しない限り欧州連合(EU)はロシアの侵攻という「存亡の危機」に立たされることになるだろうと警告した。
「自分の限度や約束を何一つ守らなかったプーチン大統領が、ウクライナで止まると一瞬でも考えられる者がいるだろうか」とマクロン氏は14日、同国のテレビ局TF1とフランス2の共同インタビューで発言。「欧州とフランスの市民の安全保障が懸かっている」と続けた。 マクロン氏は15日、ポーランド、ドイツの首脳とベルリンで会談する。会談ではウクライナ支持で西側の主要同盟国をあらためて結束させ、西側の支援を強化しようとすると見込まれる。
ロシア軍の前進を食い止めようと戦うウクライナ軍は弾薬不足が深刻化。このためロシア軍がウクライナの防衛線を崩壊させ、首都キーウに再び迫る事態にもなりかねないとの不安を強めている。一方、欧州諸国は供給する兵器の種類やウクライナへの派兵を検討すべきかを巡る論争が続き、団結を維持できていない。 マクロン氏は2週間前、ウクライナへの派兵の可能性を問われた際に何も排除すべきでないと答え、同盟国の反発を招いた。ロシアの抑止には戦略的な曖昧さが必要だと同氏は主張したが、ドイツのショルツ首相や米ホワイトハウスは即座にその選択肢を否定した。プーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ支援で派兵すれば、NATOは核戦争のリスクを冒すことになると警告した。Bilateral commitments to Ukraine, Jan. 2022 – July 2023, by typeNote: EU includes member-states and the bloc’s institutions.
マクロン氏はウクライナ軍が必要とする弾薬をEUの枠外で調達する計画に合意した国々をパリに集めて首脳会談を組織するなど、欧州のウクライナ支援を主導しようとしている。フランスはまた、ウクライナ、モルドバとそれぞれ2国間の安全保障協定に調印した。先週にはセジュルネ外相がリトアニアでバルト3国の外相らと会談。バルト3国はマクロン氏の危機意識を称賛した。 同時に、ウクライナが要請した長距離巡航ミサイル「タウルス」の供給を拒んでいるショルツ独首相は批判にさらされている。同氏はドイツが最も熱心なウクライナ支援国の一つであると強調、約300億ドル(約4兆5000億円)相当の軍事支援を行うと約束し、批判に反発している。