イスラエルのガザ攻撃をめぐり、世論は真っ二つに10月20日のドイツ。ZDFポリットバロメーター(公営第2テレビの世論調査)の、「イスラエルがガザ地区へ地上攻勢を仕掛けるのは正…|BIGLOBEニュース
10月20日のドイツ。ZDFポリットバロメーター(公営第2テレビの世論調査)の、「イスラエルがガザ地区へ地上攻勢を仕掛けるのは正しいか」という質問に対し、39%の回答者が「正しい」、41%が「正しくない」、20%が「わからない」と答えた。ドイツ人の意見は真っ二つに割れている。ガザ地区での地上戦となれば、双方に多大な人的損害が出ることは確実であるからだ。
想定外の事態に慌てたシュタインマイヤー大統領は、「ユダヤ人とユダヤの施設を全力で守る」と宣言。シナゴーグなどユダヤ関係の警備が強化されたが、わざわざユダヤ人保護の徹底を強調しなければならないこと自体が、すでに尋常ではない。 ドイツとイスラエルの関係は、いうまでもなく複雑だ。ホロコーストという原罪を背負ったドイツ人は、ヒトラーを絶対悪と定めたが、そのために、ユダヤ人とイスラエルはおのずと絶対善のような位置付けとなった。反セミティズムはもちろん禁止で、ホロコーストの否定は刑法で罰せられる。また、ヒトラーに関する研究はほとんどなされず、なされてもその内容を一般の人々が知ることはほぼなかった。ヒトラー絶対悪の原則を少しでも毀損するような論文を発表すれば、反ユダヤ主義の烙印を押されて集中砲火を浴びるだろうし、そもそも発表する機会もなかった。要するにドイツでは、異端になる覚悟がなければ、ヒトラー研究はできなかった。さらに学校では、日本人の贖罪意識など吹き飛ぶほど徹底的に、ヒトラー絶対悪とホロコーストの罪を教え込んだ。そして、政治家も、政治生命を絶ちたくなければ、イスラエル批判は御法度だった。
つまり、これによりドイツでは、①イスラエル支援、②アラブ系住民の反ユダヤ主義に対する抗議、そして新たに③パレスチナ人道支援と、世論が三つ巴となってしまった。だからこそ冒頭に述べた通り、イスラエルの地上作戦をめぐっても、国民の意見は完全に分裂していたわけだ。ただ、問題は複雑だ。例えばパレスチナ人道支援についていうなら、ドイツ人はガザ地区の人たちへの同情の念に駆られて支援を望んだに過ぎないが、ガザにミサイルを撃ち込み、ライフラインを破壊し、何千ものパレスチナ人の命を奪い、苦しめているのはイスラエルだったから、これは禁断のイスラエル非難と微妙につながりかねない。つまり、従来のドイツ人の行動から見れば、脱線である。ユダヤとの連帯とアラブとの共存という二律背反のバランスをいかにしてとるか。それは言い換えれば、イスラエルとの連帯という“国家理念”と、反ユダヤ主義を隠そうともしなくなったアラブ系住民との間で、政治家が綱渡りをしているにも等しかった。
パレスチナ側の主張と、イスラエル側の主張は、どちらかが間違っているわけでも、明らかに嘘をついているわけでもないが、接点となりうるものが何一つとしてなかった。これまで唯一の解決法とされてきた「2国家共存」は、結局、30年たっても機能せず、この調子では、おそらく永遠に機能しない可能性が高い。
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