ニシキゴイのベトナムへの輸出が急増している。農林水産省が2日発表した令和6年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額によると、ベトナム向けニシキゴイの輸出…
ニシキゴイのベトナムへの輸出が急増している。農林水産省が2日発表した令和6年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額によると、ベトナム向けニシキゴイの輸出額は7億円となり、前年同期(1・8億円)に比べ約3・9倍に拡大した。農水省は「現地で開催した品評会の影響で需要が拡大した」とその理由を説明する。だが、生産者は「それほど需要が急増した実感がない」と懐疑的だ。原発処理水を巡る日本産水産物の禁輸措置の一環として、昨年10月末から日本のニシキゴイを禁輸している中国に向け、ベトナムを経由して流れたとの見方が広がる。令和6年上半期のニシキゴイの全体の輸出額は44億円で、前年同期(36・8億円)を上回った。最大の輸出相手国は香港(8・1億円)で、次いでベトナム、米国(6・0億円)、オランダ(3・1億円)、インドネシア(3・1億円)と続く。前年に5・5億円分を輸入していた中国への輸出分がなくなったが、ベトナム向けの急増がその減少分を補った格好だ。
愛知県小牧市でニシキゴイを飼育・販売する「成田養魚園」の成田隆輝代表は、「ベトナムでは約5年前からニシキゴイを鑑賞しながらコーヒーやお茶を楽しむ〝鯉カフェ〟の人気や、現地での日本庭園の増加もあり需要は伸びている」と分析する。ベトナム向けの需要の中心は現地で育てるための稚魚で、「約5年前の売れ筋は1尾数百円の程度が中心だったが、最近は3000~5000円へと上がっている」という。ただ、成田氏は「ベトナムでそれほど需要が急増している実感はなく、弊社の輸出額全体に占める割合は5%程度だ。東南アジアでは圧倒的にインドネシア向け輸出が多く、輸出全体の約4割を占める」と強調する。農水省の統計では6年上半期のインドネシア向け輸出額は3・1億円としているが、「弊社だけでも年間で同規模のニシキゴイをインドネシアに輸出している」と話し、アジアの需要の中心はインドネシアとの見解を示す。
ベトナムへの輸出額がわずか1年で4倍近くに急増したことについて、成田氏は「同国の需要環境を考えても、ありえない」と疑問を投げかける。この実態に、国内のニシキゴイを取り扱う養殖業界などで指摘されているのが、「ベトナムを経由した中国への流出」(成田氏)だ。日本から禁輸しているものの、中国の富裕層からのニシキゴイ人気は高く、「第三国を経由した闇ルートで高値で取引されたものが中国に入っている」(新潟の養殖業者)との声もある。 同様の動きは過去に牛肉でもみられた。約5年前から数年間、日本産牛肉をほとんどみかけないカンボジアが最大の輸出先となっていたが、実態はその大半がカンボジアを経由し、日本産牛肉の輸入を規制している中国に流れていた。
ニシキゴイを巡っては、中国が昨年10月末、日本からの輸出に必要な検疫施設の許可の更新を突如停止。その理由について明らかにしていないが、東京電力福島第1原発の処理水放出に伴う中国による日本産水産物の禁輸措置の一環とみられている。
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