《昭和４２年６月、父親という一家の大黒柱を病気で失う。残された家族５人でどう生きていくのか。親戚たちは相当、悩んだ》
結局、一家で父母の故郷、山梨県に移ることになりました。僕は当時、６歳でしたが、山梨に移動するシーンは鮮明に覚えています。身の回りのものを積んで三菱の乗用車コルトに乗り、山梨に向かったのです。２人の姉は山梨県韮崎市の父方の実家でお世話になることになりました。多感な時期の３年間、彼女たちが感じたであろう寂しさは計り知れません。甲府に来る前に住んでいた横須賀には有名なドブ板通りがあり、米兵など外国人も歩いていて少ししゃれっ気があった。決して都会ではないが、ちょっとイカしているな、という雰囲気。
小学校の校舎は木造で、築３０年以上たっているような古い建物。トイレは臭かったですよ。学校の周りにはカエルはいるし、バッタは飛んでいるし、山に行くとカブトムシやクワガタがいる。カルチャーショックを受けましたよ、ヘビーな。超衝撃的でしたね。 １週間ぐらいは、学校に着いてもすぐ家に帰っていました。この〝登校拒否〟をおばあちゃんに叱られ、ブドウの木に縛りつけられたこともありましたね。家も学校も周りはブドウ園ばかりで、文字通り甘酸っぱい思い出です。《女手ひとつで子供を育てるのは並大抵なことではない。母は勤めに出て、苦しい生活を支えた》
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