2022年6月に香川県三豊市で正式運行を開始した福祉介護・共同送迎サービス『ゴイッショ』だ。今回は、三豊市で実際に共同送迎サービスの運営に関わる介護事業所や介護職員、地元の交通事業者と共同送迎のドライバーに直接話を伺うことができた。
地域の実情に合わせて考えていけそうな自由度の高さと、高齢者の生活支援としての将来性に魅力を感じている、と今回のサービス導入を検討している地域包括支援センター 包括支援係の猪木迫聡係長は話す。共同送迎サービスありきではなく、さまざまな福祉・介護に関する課題をダイハツと一緒に調査し検討を進めていると言う。
これまでの取り組みでは、ダイハツと共同で7月~9月頭にかけて江津市の全通所系介護事業所に各2回程度訪問し、困りごと調査を実施している。具体的には、一巡目の訪問ではヒアリングとアンケートを実施、二巡目の訪問では共同送迎を実施した際のシミュレーション結果などを提示した。9月には調査研究結果をまとめ、次のステップに進めるかどうかを判断していく。 今回の調査で、通所系介護事業所のニーズをしっかりと理解したうえで、共同送迎サービス導入が解決策になり得るのかを判断していく考えだ。送迎だけではなく、さまざまな施策にもつながっていることが期待されている。江津市では、本年度から福祉・介護についてのアクションプランを立てて計画しており、本件もそれに含めて検討を進めている。今回の取材でさまざまな立場の方に直接聞いてわかったことは、やはりこれまでと同じ方法では介護サービスの事業継続は難しいという現状だ。高齢化率も相まって送迎だけを考えてみても、要介護者の増加やドライバー不足は年々深刻度が増す一方、有効な解決方法を見いだせていないのは、全国どの地域でも同じだ。島根県江津市の取材でも触れたとおり、まずは実態調査をすすめることが肝心だ。実際に、介護事業所や介護職員は何に困っているのか、どうすれば解決するのかを“ご一緒に”議論をすすめることが最初の一歩となる。「まずは、たくさんの事業所に参加してもらうことが重要」と三豊市社協の野村氏も話す。今回共同送迎サービスを開始した三豊市では、コスト面やサービス面での質的向上に努め、3年の計画で安定稼働を目指して利
調査、運行準備、プレ運行と、実際には年度単位でのステップに見えるかも知れないが、調査からサービス開始までのステップをすでに経験している三豊市をベースに着手できることは、他の自治体としても比較的取り組みやすいサービスとも言える。調査さえできれば、その調査結果からわかった課題やニーズをもとに、さまざまな政策や施策に応用していくことができるため、送迎に限らず福祉・介護分野での調査事業のひとつとして見ることもできる。