異例のストライキも覚悟の上で、傘下の百貨店そごう・西武の売却を強行したセブン&アイ・ホールディングス。背景には収益改善を求める大株主の外資系ファンドの存在がある。「外圧」は不採算事業のリストラを迫り、再建を目指す祖業のスーパー、イトーヨーカ堂も標的とする。コンビニ事業を核とした「世界トップクラスのリテール(小売り)グループ」に向け、改革は道半ばだ。 ◇成果乏しく撤退 「早期のクロージング(株式譲渡)を決めることが店を立て直す近道だ」。そごう・西武労働組合がスト実施を予告した28日夜、セブン&アイ…
の売却を強行したセブン&アイ・ホールディングス。背景には収益改善を求める大株主の外資系ファンドの存在がある。「外圧」は不採算事業のリストラを迫り、再建を目指す祖業のスーパー、イトーヨーカ堂も標的とする。コンビニ事業を核とした「世界トップクラスのリテール(小売り)グループ」に向け、改革は道半ばだ。「早期のクロージング(株式譲渡)を決めることが店を立て直す近道だ」。そごう・西武労働組合がスト実施を予告した28日夜、セブン&アイの井阪隆一社長は記者団にこう語り、売却決着へ強い決意を示した。
セブン&アイは2006年、ヨーカ堂の衣料部門を強化するため西武百貨店とそごうの持ち株会社を傘下に収めた。ただ、成果は乏しく、百貨店市場の縮小傾向に合わせて低迷するそごう・西武が経営の重しとなっていった。 昨年11月、セブン&アイは米投資ファンドへの売却方針を決定したものの、労組や西武池袋本店のある東京都豊島区への説明不足から不満が噴出した。労組が31日、百貨店としては61年ぶりとなったストを決行するさなか、セブン&アイは臨時の取締役会で売却を決議。今後に禍根を残す結果となった。そごう・西武売却には、コンビニ事業への経営資源集中を要求する「物言う株主」バリューアクト・キャピタルの存在が少なからず影響した。バリューアクトがさらに切り離しを求めるのがヨーカ堂だ。セブン&アイは、力を入れる「食」分野でコンビニと連携できるとして、傘下で再建する考えだ。
セブン&アイは、ヨーカ堂の店舗縮小や衣料事業からの撤退で収益改善を急ぐ。ただ、黒字定着の糸口はまだ見えない。バリューアクトは5月の株主総会で、動きの鈍い井阪社長らの退陣を要求した。否決されたものの、ヨーカ堂の収益力を早急に強化しなければ、外圧による突き上げが勢いを増す可能性がある。そごう・西武は身を切る改革を迫られそうだ。従業員らは雇用維持への不安を募らせる。提携するのは家電量販大手ヨドバシホールディングス(東京)で、池袋本店などでは多くが家電売り場になる可能性がある。この計画を受け、「ルイ・ヴィトン」など複数の海外高級ブランドが撤退を示唆しているという。百貨店の顔とも言えるだけに「百貨店の体を失う」(関係者)と懸念する声は多い。
井阪社長は「譲渡後も雇用維持と事業継続の協議を続ける」と強調する。しかし、ストという苦渋の決断を強いられた労組や従業員らとの信頼関係修復は容易ではない。一方、ヨーカ堂の立て直しは待ったなしの課題で、セブン&アイの試練は続く。
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