若年層で増加する一般用医薬品(市販薬)のオーバードーズ(OD、過剰摂取)を考えるシンポジウムが2日、鹿児島市であった。元県薬務技師で、新潟薬科大学薬学部の城田起...
若年層で増加する一般用医薬品(市販薬)のオーバードーズ(OD、過剰摂取)を考えるシンポジウムが2日、鹿児島市であった。元県薬務技師で、新潟薬科大学薬学部の城田起郎助教(40)が講演し、命に関わるODの現状を報告し「生きづらさに寄り添う支援を」と訴えた。要旨を紹介する。
全国の精神科医療施設で治療を受けた10代の薬物依存患者のうち、主な依存薬物が市販薬だったのは2014年はゼロだったのに対し、22年は65.2%に上る。市販薬の乱用経験者は、大麻の約10倍というデータもある。ODは「トー横」(東京・歌舞伎町)や「グリ下」(大阪・道頓堀)だけでなく、全国どこでも起こりうる問題だ。市販薬でも決められた量を超えて大量に服用すると、めまいや吐き気、幻覚、けいれん、多臓器へのダメージといった身体症状を引き起こす恐れがある。市販薬には含有率が高いと麻薬に該当する成分も入っており、たくさん飲むことで依存症にもつながる。周囲が気づいた時には既に依存症に陥っている場合も多いとされる。家族や学校だけで抱えるのではなく、医師や薬剤師、精神保健福祉センターや保健所にも相談したい。
ODは、生きづらさを乗り越えるための一つの手段だ。OD自体を禁止しても根本的な解決にはならない。児童生徒が行っていた場合、行為を叱ったり責めたりはせず、その背景にある生きづらさと向き合ってほしい。家族や学校、行政、地域が連携して子どもに寄り添える体制づくりが必要だ。インターネットや交流サイト(SNS)には情報があふれている。興味本位で手を出してしまう可能性もあり、このケースも適切に対策しなければならない。 薬物乱用防止の国際的なスローガンに「yes to life no to drugs(人生にイエスと言い、薬物にはノーと言おう)」がある。乱用の恐ろしさを伝えるだけではなく、自身の人生には不要なものだと気付きを与えられる教育などを進めていく必要がある。厚生労働省の研究班は7月、せき止め薬や鎮痛剤などの一般用医薬品(市販薬)を過去1年間に乱用目的で使った経験がある人は15〜64歳で約65万人との推計を明らかにした。一時的に多幸感や高揚感を得たり、精神的苦痛から逃れようとしたりするため市販薬を大量服用し、急性中毒症状で緊急搬送される事案が増えている。
県薬務課によると、23年1〜6月、市販薬過剰摂取の疑いで救急搬送されたのは鹿児島市消防局で102人に上る。20代が24人と最も多く、30代が20人、40代が16人と続いた。10代は13人で、10歳未満はいなかった。
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