つばきやさざんかの葉に群がります
このクリニックでは、4月から6月にかけてチャドクガによる皮膚炎と診断された患者が去年の同じ時期の4倍に増えていた。千見寺医師は「炎症が強く、市販薬は効きにくい。かきすぎると『とびひ』になるなどさらに悪化するので、早めに診察を受けてほしい」と呼びかけている。チャドクガによる皮膚炎はどのような流れで起きるのか。千見寺医師が「皮膚科医にとって、虫による皮膚炎のバイブルはこの本です」と示した図鑑の著者、兵庫医科大学の夏秋優准教授に話を聞いてみた。夏秋准教授はまず、チャドクガの被害について多くの人が勘違いする点について教えてくれた。「体を覆う目に見える長い毛には毒はないんですよ。これとは別に、背中の黒い部分に肉眼では見えない0.
1mmくらいの『毒針毛』という毛が30万本から50万本生えているんですが、これが毒を持っているんです。タンポポの綿毛をイメージしてもらうといいでしょう。風で抜けて飛びやすいんです。服にくっついて、気付かないうちに触れて皮膚炎を起こすのです」このうち習志野市では、宮本泰介市長が公式の動画サイトで過去に自身も被害にあったことを明かしたうえで「今で言う、密集、密接した状態で身を寄せ合っている。数年に一回の大量発生です」と注意を呼びかけていた。 夏秋准教授に千葉県内で被害が多いことを説明すると「千葉は当たり年なんですね。私は毎年状況を調べてますけど、関西は今回ははずれですよ」とのこと。「当たり」と「はずれ」…毛虫の研究を長年続ける専門家のとらえ方は、私とは違うようだ…。夏秋准教授によると、好物は、つばきやさざんか。そこで全国有数の「つばき油」の産地、東京都の大島に状況を聞いてみた。「都の大島支庁と大島町では、合同で毎年5月末ごろ、つばきが密集する場所10か所でチャドクガの発生調査をしている。ことしの調査結果はまだ出ていないが『例年並み』との感触だ」。同じく伊豆諸島の利島の農業協同組合の担当者にも聞いてみた。「ここ数年、チャドクガによる被害は少ない。それよりも『尺取り虫』のほうが、利島のつばきでは幅を利かせている」。つばき農家を悩ませるのはチャドクガだけではないようだ。つばき油の名産地では、チャドクガは大量発生していないのか…千葉県だけの大発生なのか…。しかし、チャドクガによる被害者は千葉県民だけではなかった。チャドクガの被害を伝えたNHKニュースのツイートには、各地から「私も被害にあった」という声がたくさん寄せられた。 埼玉県の小学3年生の女の子は、6月半ばに理科の授業で校庭で観察をしたあと、発疹が出たという。女の子の母親は「新型コロナウイルスの感染拡大で長い間、家庭内で自粛していた子どもたちへの配慮で、学校は校庭で授業をしてくれたようだが、屋外にはこんなリスクがあるなんて」と驚いていた。石川県の30代の女性は、6月中旬、パンジーの鉢植えにいた毛虫を駆除したら眠れないほどのかゆみに襲われた。「血行がよくなるとかゆみが出るので、湯船につかるのもお酒を飲むのも控えていました」。どうやら自宅や学校などの生活圏で被害が集中していることがわかった。夏秋准教授によると、こうした住宅地では、防除対策が取られていないことが多く、被害が発生しやすいという。
