菅野暁が、日経電子版のThink!エキスパートとしてニュースにひとこと解説。記事を分かりやすく読み解きながら、考察・分析や独自の視点、今後の展望や体験談をお届けします。
脱炭素化を図るために機関投資家が「結託」して企業に「不当な」圧力をかけているのか、未来の社会・経済、ひいては企業価値の向上のために「正当」な圧力をかけているのか、２つの見方のどちらが正しいかを決めるのは、やはり政治的な判断しかないと思います。米国のように民主党政権は脱炭素政策を推し進め、共和党が支配する連邦議会下院・州政府が反脱炭素の姿勢を強める中では、一貫した政治的姿勢が打ち出せず、機関投資家としては困惑するばかりです。一方、カルテルの観点はテクニカルには重要で、機関投資家が結託して圧力をかけるのではなく、機関投資家が個々に判断してエンゲージメントを行うことは必ず守るべき一線だと思います。インパクト投資については、２０２１年に当時のG７議長国だった英国主導でInpact Task Forceが立ち上がり、金融、政府、NPOなど多様な関係者が参加して議論が行われた。その時の２つのテーマが「Mesurement（インパクトの測定）」と「Scale...
脱炭素化を図るために機関投資家が「結託」して企業に「不当な」圧力をかけているのか、未来の社会・経済、ひいては企業価値の向上のために「正当」な圧力をかけているのか、２つの見方のどちらが正しいかを決めるのは、やはり政治的な判断しかないと思います。米国のように民主党政権は脱炭素政策を推し進め、共和党が支配する連邦議会下院・州政府が反脱炭素の姿勢を強める中では、一貫した政治的姿勢が打ち出せず、機関投資家としては困惑するばかりです。一方、カルテルの観点はテクニカルには重要で、機関投資家が結託して圧力をかけるのではなく、機関投資家が個々に判断してエンゲージメントを行うことは必ず守るべき一線だと思います。インパクト投資については、２０２１年に当時のG７議長国だった英国主導でInpact Task Forceが立ち上がり、金融、政府、NPOなど多様な関係者が参加して議論が行われた。その時の２つのテーマが「Mesurement（インパクトの測定）」と「Scale up（規模拡大）」であった。インパクトの測定については、統一的なインパクト会計の整備が重要という提言を行っているが、この重要性は今も変わっていない。東京大学からは５００を超えるスタートアップが生まれているが、現在の注力分野は「社会的起業」である。インパクトを測定する統一的な基盤の整備と、それに基づいたインパクト投資の拡大が望まれる。
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