日刊スポーツ・プレミアムでは毎週月曜に「氷現者」と題し、フィギュアスケートに関わる人物のルーツや思いに迫っています。シリーズ第29弾では、本田ルーカス剛史(21=木下アカデミー)を描きます。昨春同アカデミー所属の清水咲衣とペアを結成し、今年3月2日に閉幕した世界ジュニア選手権にも出場。シングルとの二刀流は今季限りで、今後はペアで世界を狙っていきます。全3回の上編では、競技を始めた幼少期からノービス時代までを描きます。フィギュアスケートに引かれた理由、そして、日本フィギュア界の先駆者である山下艶子と二人三脚で練習に励んだ日々を振り返ります。(敬称略) - 日刊スポーツ新聞社のニュースサイト、ニッカンスポーツ・コム(nikkansports.
肩越しに、ブラジルののどかな光景が広がる―。成長した木々にはかぐわしい香りを携えただいだい色が輝き、その隣には大きな葉っぱに身を隠した細長い実がなっている。北の空に浮かぶ太陽は、それらの実に少しずつ彩りを分け与えていた。「僕は日系ブラジル4世で、でも日本の血しかないです。母はオレンジとかバナナの農家をやっていて、にわとりとかも飼ってて。父はサンパウロの方なんですけど…。あんまり聞いたことないな」ただ、「出身は関西」と自称するように、幼少期は引っ越しが続いた。岸和田市で生まれた後、2歳で石川・金沢へ。その後、幼稚園に上がるとすぐに兵庫・神戸に移り、数年後、また県内の尼崎へ移動した。特に思い出深いのは、生田川公園。新神戸駅から徒歩10分ほどの場所にあり、生田川沿いを約1.
入ったのは、神戸・ポートアイランドリンクで開かれている教室。そこでは、週2、3回、午前8時開始のレッスンが設けられていた。だが、スケートの魅力に取りつかれた本田は、そこでシューズを脱ぐことはしない。レッスン後も、一般営業が終わる午後3~5時までひたすら氷の上に立ち続け、練習に没頭した。「当時は全然練習っていう感覚はなくて、その友達とずっと一緒に遊んでいた感じです。でも、僕より母の体力の方がすごいなって感じですよ。ずっと一緒にいてくれて、母ともちょっとだけ一緒に滑っていたので」それまでにも水泳やサッカーの教室に通ったが、熱中できるものはなかった。サッカーは「押したりするのが苦手で…。思ってたよりも激しく体を入れたりするんだと思って、多分それで嫌になった」とやめることにし、水泳は「泳ぎ続けるだけっていうのが苦手」と単調な練習に飽きてしまった。「4泳法は覚えて」と両親から言われるがままに「じゃあ」と3、4年は続けたが、目的は、自由形、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎの4つを習得することのみ。選手コースに進む道も勧められたが、全く揺らがず教室を去った。
フィギュア Members_12 【竹本穂乃加】 氷現者 氷現者・本田ルーカス剛史 連載第1回 日刊スポーツ・プレミアム
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