これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。『洋酒天国』の創刊編集者で、取材で世界を巡り、釣り師でもあった小説家の開高健。酒も煙草も、もちろん食もその味わいを知り尽くす作家が味覚についてひと言。
壽屋(現在のサントリー)のPR誌『洋酒天国』の創刊編集者で、小説家、ノンフィクションの名手、さらには釣り師で食通の顔も合わせ持つ開高健。彼が亡くなった翌年、1990年に刊行されたのが奇書『小説家のメニュー』だ。その目次からして強烈な1冊。12章全てのタイトルが同じなのだ。どれも文字面だけ見れば「美味・珍味・奇味・怪味・媚味・魔味・幻味・幼味・妖味・天味」とあるだけ。このなかから2、3の「味」が太字になっていて、その章の味わいを示している。。登場するのは珍味、媚味、天味が太字になった章。山菜のほろ苦い味こそノーブルな味、すなわち「貴味」であるといい、福島と新潟の県境にある奥只見湖界隈でのマイタケ採りの「難行苦行」ぶりを詳説。その苦労を知るからこそ、山菜は一層貴いのだと。味覚とは単なる味わいだけでなく、その背景も含んでこそ。故に「文化」ではないかとつぶやいているのだ。
ほかにもサイゴンのネズミ、ニューヨークのソフト・シェル・クラブ、アマゾンのピラニアなど、体験談に基づくエピソードはどれも強烈。実体験のみならず、画家のロートレックや美食家ブリア=サヴァランの言葉を引き、古今東西の味わいをも語る。読み心地は軽やかでありつつ、硬派な味覚文化論なのだ。
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