【新聞に喝!】保守とはなんぞや インド太平洋問題研究所理事長・簑原俊洋 日本を代表する保守の新聞といえば、何と言っても「産経新聞」であろう。関西に居住する筆者にとって、大阪を発祥の地とする同紙は特になじみ深い。昭和8年に日本工業新聞として大阪市で創刊され…
日本を代表する保守の新聞といえば、何と言っても「産経新聞」であろう。関西に居住する筆者にとって、大阪を発祥の地とする同紙は特になじみ深い。昭和8年に日本工業新聞として大阪市で創刊され、第二次大戦中の17年に産業経済新聞に改名した。戦後の冷戦時代は反共産主義の急先鋒(せんぽう)であった。保守政権下の韓国政府を支持して日韓関係の重要性を説くこともあれば、1980年代後半に米国のレーガン大統領や英国のサッチャー首相が推進した新自由主義路線と、極めて親和性が高い論調を唱えることもあった。
日本では自衛隊のみならず安全保障全般について国民の関心は総じて低く、理解も不足していると筆者は日々痛感しているが、その中で安全保障に関する内容を積極的に掲載し、深い洞察力と分析がなされた記事は光っている。加えて、日本を取り巻く国際政治の現状に警鐘を鳴らすとともに憲法改正の必要性を訴える真摯(しんし)な姿勢は、国家の将来を真剣に考えている証左であり、共鳴できる。 他方で、若干の違和感を抱いてしまうのは、時として表れる強いイデオロギー性である。日本政治にせよ、米国政治にせよ、好き嫌いを前面に出して主義主張を痛烈に展開する報道はどこか米保守系メディアのFOXニュースと重なるところがある。また、LGBTQ(性的少数者)や夫婦別姓に同調しない姿勢も、新たな時代を切り開くという意味で、国家の将来を見据えての変容と進展なるものをいかに捉えているのかと率直に疑問を抱かせる。変化というのはそれほど恐ろしく、忌避すべきものなのか。
そうした中、最近、産経が人権問題―中国政府によるウイグル人弾圧や香港での言論弾圧など―に関心を寄せて紙面を多く割くようになったことをうれしく思う。なぜならば、その延長線上に、より寛容で寛大な保守としての論調があるはずだからだ。こうした「産経新聞」をずっと応援していきたいと思うとともに、保守とはなんぞやという問いかけについて真剣に考えさせる契機を与えてくれたことに感謝したい。 さて、約4年に亘(わた)って執筆してきた本欄だが、今回で最終回となる。必ずしも産経の主張に沿っていないにもかかわらず、長らくお読みいただいた読者の方々に改めて御礼を申し上げたい。引き続き担当させていただく「揺らぐ覇権」のコラムにて皆さまとの再会を心待ちにしています。