巨人は２７日、１軍打撃コーチに矢野謙次氏（４３）が就任すると発表した。１６日にコーチングスタッフが発表された際には「公表時期調整中」とされていた。背番号は阿部監督が今季まで背負っていた「８０」。今季
Ｇ党から絶大な人気を集めた男が８年ぶりに巨人に帰ってくる。現役時代には０７年に代打逆転満塁本塁打をマークするなど、勝負強い打撃で貢献。１３年には５３打数１９安打、打率３割５分８厘と驚異の代打成績を残した。１５年６月にトレード移籍した日本ハムを１８年限りで引退。その後はレンジャーズにコーチ留学し、日本ハムの１、２軍でコーチも務めた。
今季、巨人のチーム打率２割５分２厘、本塁打数１６４はともにリーグトップ。一方で総得点はリーグ３位の５２３で、昨年の５４８を下回った。得点圏でのあと１本が出ない場面が多く、好機で勝負強かった矢野氏の指導に期待がかかる。 そのキャラクターもチームを明るく照らしそうだ。この日、自身のＳＮＳで「阿部監督からは『謙次の元気でチームを明るくしてくれ！』との特命を授かりました」と報告。「やーのー、けんじー、気合の戦士～」から始まる現役時代の応援歌は屈指の人気で、２０年にスポーツ報知が行った「巨人軍応援歌総選挙」でも「ＯＢ編」第１位だった。 「心に火をつけて。チームのために。勝利のために。全身全霊をかけて戦いたいと思います」。ＳＮＳでは応援歌の一部も引用し、決意をつづった。二岡ヘッド兼打撃チーフコーチとともに打撃部門の強化を目指し、４年ぶりリーグＶの力になるべく熱く体を燃やす。（田中 哲）「気合の戦士」は、コーチとなっても不変だった。日本ハム２軍打撃コーチ時代。矢野氏は時間を惜しまず選手と向き合っていた。シーズン中は何と午前４時に起床し、５時半には本拠・鎌ケ谷の球場入り。コーチとしての準備を行い、早朝から練習する２軍時代の松本剛らの姿を見てきた。春秋のキャンプ中も自然と目が覚めるのは早く「（各選手が）どんな感じで昨日から変わるかな、って楽しみで起きちゃう」とうれしそうに明かしていた。
万波や松本剛らの進化を支え、性格や立場も把握しながら選手に合った助言を心掛ける。試合中のベンチでも「聞かれたことは全部答えられるように」とあらゆることに気を配った。「俺はこの選手たちを見られて本当に幸せだよ」と口にしていたのが印象的だ。◆矢野 謙次（やの・けんじ）１９８０年９月２１日、東京都生まれ。４３歳。国学院久我山から国学院大に進み、２００２年ドラフト６巡目で巨人入団。１３年にはシーズン代打安打１９本の球団新。１５年６月に須永とともに矢貫、北とのトレードで日本ハムへ移籍し、１８年限りで現役引退。引退後は日本ハムの「特命コーチ」に就任し、レンジャーズへコーチ留学。２０年は１軍外野守備兼打撃コーチ補佐、２１、２２年は２軍打撃コーチを歴任し、今季はスカウト。通算７５９試合で打率２割６分２厘、２９本塁打、１５３打点。右投右打。
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