◇セ・リーグ阪神4―3巨人(2023年9月14日甲子園)大歓声のなか胴上げに舞う阪神監督・岡田彰布を見ながら、思い
大歓声のなか胴上げに舞う阪神監督・岡田彰布を見ながら、思い返している。「え?当然、来年も岡田さんが監督でしょう」と突っ込んだが「ふふふ」と笑っていた。2リーグ制で球団初となる連覇に水を向けたが「ん?」と素っ気なかった。65歳。来年11月には野村克也(2001年=66歳)を上回り阪神監督で最高齢を迎える。何度も「しんどいわ」と聞いていた。会話や会見の途中でもよくせき込んだ。
いや、それ以上に勇退を考えたのは優勝という結果だろう。「本当に強くなったなあ。監督になり、自分が言ってきたことをこんなに早く吸収して、こんなに早く結果が出るとは思っていなかったよ」。選手たちの成長に手応えを感じ、“自分の仕事は終わった”と、ある種の達成感を抱いているようだった。「どこからあんな話出たんやろなあ」と岡田は半ば内容を認めていた。しかし、この時にはもう翻意していた。「オレだけ辞めて、あとは放っておくわけにはいかんやろう」と言った。昨年秋の監督就任には阪急阪神ホールディングス(HD)会長兼CEO・角和夫の意向が強く働いていた。早大の後輩で親交の深い岡田は内々に監督としての期待を聞き「後継者の育成」も託されていた。2年契約でもあり、優勝したからといって投げ出すわけにはいかない。妻は結婚前、初対面の際「堂々と無言でいる」と感心し「この人はサムライだ」と思った。カナダで長く暮らし、上智大でも欧米的な「ハーイ」と言い合う男性しか知らなかった。「日本のサムライがここにいた」優勝は自身が前回監督だった05年以来、18年ぶりだ。同一監督のブランクとしては史上3番目。同一球団・同一監督では長嶋
この長い間、岡田は阪神監督復帰と優勝を夢に描いて過ごしてきた。前回は08年、最大13ゲーム差を逆転されて優勝を逃し責任を取る形で辞任。直後の真弓明信はともかく、その後、和田豊、金本知憲、矢野燿大と新監督が就任する度に「なんでや……」とため息をつき、苦い酒を飲むのを目の当たりにした。評論活動をしながらゴルフやパチンコに明け暮れた。それでも阪神から必ず要請がくると信じていた。 いざ、監督に就くと、38歳の一人息子よりも若い選手ばかりがいた。「今の選手たちは昔のように“監督のために”とか“この人を男に”なんて誰も考えてないよ。それは分かっている」。世代間ギャップをわかったうえ、「監督の仕事は選手たちの給料を上げてやること」と選手第一の姿勢を貫いていた。「普通にやればいい」と繰り返した。難しいプレーは要求せず、基本を徹底した。「普通力」と呼んでいる。サインやフォーメーションの数も減らした。もう幾度も書いたが、打者に「追い込まれてもストライクゾーンは変わらんのやで」と諭すと、粘り強くなり、四球数が急増した。村山実の「球道一筋」からとった「道一筋」を座右の銘とする。「監督なんて、長いタイガースの歴史からすれば、ほんの一コマでしかない」。記録的な圧勝劇で歴史的な一コマを描いたのだ。
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