任天堂の「スーパーマリオ」は1990年代前半の人気絶頂期、米国でミッキーマウスよりも子どもの間でよく知られていたことが、広く引用されている調査で明らかになっている。それから30年後、マリオは再びミッキーを超えた。
今回の大ヒットは全く保証されていなかった。「Ｚ世代」や「アルファ世代」の若者や子どもたちは、親世代のゲームよりも「フォートナイト」や「マインクラフト」などに興味があるかもしれない。
主人公マリオの声優にステレオタイプ的なイタリアなまりで話さないクリス・プラットが起用され、筋金入りのファンが機嫌を損ねるのではとの懸念もあった。ビデオゲームの映画化は、熱心なファンと新たな観客の両方を呼び込もうとした結果、どちらも満足させられずに終わる傾向が長年続いた。 くしくも、この傾向が始まるきっかけとなったのがマリオだ。ビデオゲーム初の映画化となった30年前のスーパーマリオの実写化映画は失敗に終わった。こうしたつまずきもあり、任天堂は知的財産権の利用に一段と慎重になった。 今回の映画化成功は、任天堂の君島達己前社長による判断の正しさを証明している。前任の岩田聡氏急逝を受け2015年に社長に就いた君島氏は、その３年後に退任。銀行出身の君島氏は７年前、米大リーグ球団の持ち分売却で得た資金を映画事業に充てる アニメ映画版マリオの成功は、正しい方向への一歩と言えるだろう。この作品だけで任天堂に今年度中に３億5000万ドルの利益がもたらされるとジェフリーズは予想している。そして、より重要なのはこの映画が生み出すであろう相乗効果だ。 似たりよったりのスーパーヒーロー映画に観客が退屈を覚える中、映画版マリオの成功のほか、ソニーグループのゲームを原作としたＨＢＯのドラマ「シネマティックユニバースが15年にあったものの、結局実現しなかった。しかし、長きにわたり人気のこのファンタジー作品が国際的に幅広い魅力を持っているのは間違いない。...
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