「勝ち星」は時代遅れの指標? 投手を評価できるのか 野球データアナリスト 岡田友輔
「アスレチックス・藤浪、チームトップの5勝目」「楽天のドラフト1位・荘司、9度目登板でプロ初勝利」――。日本のメディアが野球のニュースを伝える際、見だしに使われることが多いのが投手の「勝ち星」だ。主に先発投手を評価する際に重要な指標とされてきた勝ち星の価値について、野球の進化という側面からいま一度考えてみたい。
平たく言えば、先発投手は最低でも5回を投げきらないと勝利の権利を得られないのだが、この決まりははるか昔に定められたもの。投手の分業制が定着し、先発の投球回が年々短くなっているなか、勝ち星という物差しで先発投手を見ていていいのだろうか。米大リーグでは1970年代前半、先発投手は平均で7回以上を投げていた。救援投手の有効な起用方法が確立し、さらに「オープナー」などの起用も始まった2010年代に一気に短くなり、22年は5.2回だった。米大リーグ全体で先発投手は「責任投球回」とされる5回を僅かに上回る程度でマウンドを降りているのだ。 ベンチが追い求めているのは「先発投手の勝利」ではなく「チームの勝利」。そのために試合を通していかに失点を少なくできるかを考える。エース級は長く投げても少ない失点で切り抜けられるが、一般的な先発投手は長いイニングを投げれば疲れるし、何度も対戦すれば打者はボールに見慣れてくる。最少失点を求めて合理的に選択していった結果、先発投手に求める仕事が変わったのだ。
しかし、そもそも勝利数というのは平等な指標ではない。5回5失点でも味方が6点取ってくれれば勝ち投手の権利を得られるし、9回1失点でも援護がなければ負け投手となる。所属するチームの打力の高低を含めた「投手とは関係のない要素」にかなりの部分を依存するため、投手の能力をそのまま表しているとは言い難い。
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