【ワシントン=芦塚智子】ハリス米副大統領は12日、11月の大統領選の激戦州である西部アリゾナ州を訪れ、人工妊娠中絶の権利擁護を訴えた。同州では州最高裁が9日に中絶をほぼ全面的に禁じた160年前の州法を復活させる判断を下している。ハリス氏は演説で、アリゾナ州最高裁の判断を「女性の最も基本的な権利を奪うため、時計を1800年代に戻した」と批判。「（中絶禁止は）誰のせいか理解しなくてはならない。前大
【ワシントン=芦塚智子】ハリス米副大統領は12日、11月の大統領選の激戦州である西部アリゾナ州を訪れ、人工妊娠中絶の権利擁護を訴えた。同州では州最高裁が9日に中絶をほぼ全面的に禁じた160年前の州法を復活させる判断を下している。
ハリス氏は演説で、アリゾナ州最高裁の判断を「女性の最も基本的な権利を奪うため、時計を1800年代に戻した」と批判。「（中絶禁止は）誰のせいか理解しなくてはならない。前大統領のドナルド・トランプだ」と強調した。 トランプ前大統領は中絶の権利を認めた連邦最高裁の判断を覆すために保守派判事3人を指名したと指摘し、20州以上が中絶規制を強化したのはトランプ氏の責任だと追及した。「トランプの2期目は禁止と苦しみが増え、自由が減る。我々はそうはさせない」と訴え、投票を呼び掛けた。中絶の全面禁止には共和穏健派も反対している。再選を目指す民主党のバイデン大統領は2020年の大統領選でアリゾナ州を制したが、1%未満の僅差だった。メキシコと国境を接する同州では不法移民問題が逆風になりかねないため、中絶問題に焦点を当てる戦略だ。
大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は12日、SNSへの投稿でアリゾナ州最高裁の判断を「行き過ぎだ」と批判し、州知事と州議会に対応を求めた。例外を認めるべきだとの考えもあらためて強調した。無党派や穏健派に配慮した。 トランプ氏は8日に中絶に関する声明を発表し、規制は州が決めることだとして全米一律の禁止は支持しない立場を表明した。中絶に強硬に反対する保守派は不満を示しているが、トランプ陣営には保守派がバイデン氏に流れることはないとの計算がある。
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