「ワクチンパスポート」が世界で拡大 米欧、経済再開の切り札 スマートフォンなどで表示する制度は、コロナ禍で停滞した社会・経済活動の正常化を促す手段として注目される。
新型コロナウイルスのワクチン接種済み証明の導入の動きが世界各地で活発になってきた。「ワクチンパスポート」とも呼ばれ、スマートフォンなどで表示する制度は、コロナ禍で停滞した社会・経済活動の正常化を促す手段として注目される。米欧や中国などが取り組みを進める中、慎重だった日本も限定的ながら検討に入っている。
米東部ニューヨーク州のクオモ知事は2日、全ての観客の新型コロナのワクチン接種歴か、または陰性証明を確認することを条件に、舞台芸術やコンサートなどイベント会場の収容人数を屋内で最大150人、屋外では500人まで認めると発表した。大人数のワクチン接種歴の確認を可能にしたのが、3月26日に全米初の運用を始めた州独自のワクチンパスポートだ。米国では州政府のほか、企業や非営利団体などの主導でワクチンパスポートの開発が進む。新型コロナで旅客が激減した航空業界も急いでおり、国際航空運送協会(IATA)の「トラベルパス」は今月中の運用開始が見込まれている。CDCのワレンスキー所長は声明で「(ワクチン)接種を全米国民に促す」と、接種完了者への旅行条件緩和の狙いを説明。バイデン政権はワクチンパスポートについて満たすべき基準を提言する方針で、開発を後押しする考えだ。ワクチンパスポートを世界で先駆ける形で導入したのはイスラエルだ。政府は接種者に対し、「グリーンパス」と呼ばれる証明をスマートフォンのアプリやウェブサイトなどを通じて発行。文化施設など感染リスクが高い場所への入場の際に提示を義務付けた。欧州連合(E
EUではハンガリーなど一部加盟国が、EU未認可のロシア、中国製ワクチンを独自に採用している。接種証明では、各加盟国の判断でEUが販売認可していないワクチンを加えることも可能だが、未認可ワクチンを接種記録として認めるか否かは、渡航者の受け入れ先の国が判断する。