グッチ(GUCCI)の新クリエイティブ・ディレクターに抜擢されたサバト・デ・サルノに、US版『VOGUE』がインタビュー。プラダ(PRADA)にドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)、そしてヴァレンティノ(VALENTINO)といった名だたるメゾンで腕を磨いた彼が、待望のデビューコレクションに掛ける想いとは。
ショーで、デ・サルノとキャスティング・ディレクターのピエルジョルジョ・デル・モーロは新しい顔にスポットライトを当てようとしている。「無名の人たちを起用したいですね」と話すデザイナーは、その理由をこう説明した。「私はひとつの美学を見せたいのに、有名人を使うとその人しか目に入らない。私が伝えたいストーリーを表現するのに、彼らが役立つかどうかはわかりません」。デ・サルノはグッチを「物事を語るためのマイク」だと思っているそうで、彼がその「マイク」を使って発信するひとつが、若い才能だ。ランウェイデビューと同時に、グッチはミラノを拠点に活動する4人の若手アーティストのギャラリーショーをスポンサーし、このエキシビションは一般公開される。また、彼がミラノへの「ラブレター」と表現する著作『Gucci Prospettive N.1, Milano Ancora』も出版されるそうだ。
ケリングが企業再編を発表したのは今年7月下旬。メガブランドであるグッチの第2四半期の売上高は1%増の25億ユーロで、コンセンサス予想の4%を下回った。しかし、会長兼CEOのフランソワ・アンリ・ピノーは、「グッチの可能性は150億ユーロを超える」と自信を見せている。 ビッザーリはショーの翌日に退任し、同社の元マネージング・ディレクター、ジャン=フランソワ・パルーが暫定的に後任に就くことがわかっているが、初めてクリエイティブ・ディレクターを務めるデ・サルノにとって、この再編成は不安なものになったかもしれない。しかしショーの1週間前に電話をかけると、彼は至って落ち着いているようだった。「確かに大きな変化ではありますが、私にとってはそうではありません。私自身、まだ着任したばかり。私たちは大きな“進化”の時にあるのだと思っています。キーパーソンとなる人たちが皆、私も含め新しいですしね」。今はやるべきことが多くあっても、ショーの準備は整っているようだ。「とにかく楽しみです。プロセスは私の仕事の一部にあるので、よく理解しています。でもこのショーの裏にある感情は、筆舌に尽くしがたいものです」