「勝つ物語」より「負けた時の物語」が必要だ。臨床心理士・東畑開人さんと考える、小さな希望の見つけかた

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「勝つ物語」より「負けた時の物語」が必要だ。臨床心理士・東畑開人さんと考える、小さな希望の見つけかた
メンタルヘルスコロナ禍インタビュー

フリーライター。興味のある分野は、社会的マイノリティ、福祉、表現、コミュニティ、スポーツなど。初単著に『僕は死なない子育てをする』(創元社)。

幸せな老後を過ごす上品な老婦人がカウンセリングにやってきて、「うまく眠れないのね」と言う。 東畑さんはなぜ彼女がカウンセリングを必要としているのか、いまいちわからない。 だけど様子を見ることにして、しばらく会い続けた。

すると彼女は眠れるようになった。 それでも、彼女はカウンセリングに通うことをやめなかった。 夫は優しく、経済的にも頼りがいがある。 彼女はときどき孫を預かるのを楽しみにし、「自分は幸福だ」と言いながら、カウンセリングに来る。

「何をしに来ているのだろう? 」。 東畑さんは「なんとも居心地が悪かった」と回想する。

「個人の中の多様性の問題だと思うんです。 つまり僕らの内側には複数の声があって、いろんな『私』がいる。 大きな声の『私』もいれば、小さすぎる声で自分にも聞こえない『私』もいるわけですよね。 『なんで夫と一緒に生きていかなきゃいけないんだろう』という問いが、複数の心のなかの1つとして小さく存在していたわけです。

だけど、社会的に適応するための声のほうが大きいから、彼女は自分でも幸せだと思い込んでいる。 でもやっぱり、『そうじゃないのかもしれない』と思っている彼女もいる。 ただ1人で考えていても、小さなほうの声はあらわにならないんですね。 誰かと時間をかけて話をしているなかで、突如として自分の内に小さな声が響いていたことに気づいて、自分でもびっくりする。

それは当然、自分のこれまでの人生を脅かすような危険な声だから、聞いてしまうと心身ともに不安で不快になることもあるわけです。 ときに不快な部分にも耳を傾けて、心をフルレンジで生きていくことは億劫だ。 しかし、“心の回復には時間が止まるフェイズがある”。 そして、次のステージに行ける。

“暴風が収まると、凪の時間が訪れる。 風がやみ、時間が止まる。 そのとき、私たちはふと我に返り、ぽつんと一人になる。 するとようやく、内省が可能になる。

落ち着いて、自分のことを考えることができるようになるのだ”(『心はどこに消えた? 』より)「『こんなバカな辞書の書き方ある? 』と最初は爆笑したんですね。 でも、あとから考えるほどに、鋭いのではないかと思い始めました。

あるいは、体の不調であれば病院に行って検査をし、必要であれば手術をしたり、薬を飲んだりする。 環境や体の問題が先です。 それでもどうにもならなかった時に初めて、その原因が心にあるのではないかと考え始める。 心は最後に現れる。

カウンセリングの仕事をしていると、この社会の最後の仕事をしている感じがするんですね。 色々なことをやり終わった後に、最後に残っている仕事です。 ですから、「○○でない」という否定形で書かれた心の定義は、意外に深淵なことを言っているのではないかと思いました」(東畑さん)「コロナ禍に入ってからもカウンセリングルームでは、実はコロナの話が中心になることはほとんどありませんでした。 遠景にはコロナもあって、それは様々な影響を与えているにせよ、直近でクライエントが悩んだり考えたりしているのはとても身近で小さな人間関係や仕事、家庭の話なんです。

そういう意味でも、僕がやっているのは、コロナのようなすごく大きなことをどうこうする仕事ではない。 言わばコロナの反対。 そうした“最後の場所”があることが重要ではないでしょうか。 危機だからこそ、みんなが一致団結すべき部分もありますが、一方ではそれぞれが小さな人生を生きていることの価値を、連載の1年でよく考えていました」(東畑さん)

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メンタルヘルス コロナ禍 インタビュー 遠藤光太 メンタルケア 東畑開人 與那覇潤 心はどこへ消えた 平成史

 

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