台湾の詐欺対策が日本に学ぶ - 市民参加型プラットフォーム「ストップ詐欺広告」のベータ版の公開と、5月以降に予定される市民熟議の実施計画が明らかにされました。市民が詐欺広告を見つけて通報し、そのデータを社会で共有、さらに熟議を通じて制度改正や運用改善につなげるという試みです。
その中で、市民参加型の通報プラットフォーム「ストップ詐欺広告」ベータ版の公開と、5月以降に予定される 市民熟議 の実施計画が明らかにされました。 市民が詐欺広告を見つけて通報し、そのデータを社会で共有、さらに熟議を通じて制度改正や運用改善につなげるという試みです。
その発想の背景にあるのが、台湾の先行事例です。 台湾でも著名人の写真や実名を悪用した詐欺広告が深刻化しましたが、対策は一足飛びに成功したわけではありません。2023年には広告主の身元確認を義務化する制度改正が行われたものの、Metaが技術的困難を理由に実効的な対応を取らず、十分な効果は得られませんでした。 転機となったのが、2024年の市民熟議です。447人の市民が参加し、85%以上がプラットフォーム規制強化に合意しました。 その合意形成を土台に、台湾ではわずか4カ月で詐欺犯罪防止法が成立しました。
これにより、プラットフォーム事業者は当局から通知を受けたら24時間以内に詐欺広告を削除することなどが定められ、違反に対する罰金も定められました。 日本では「SNS型投資詐欺」が大きな被害を出しています。 警察庁は、2025年のSNS型投資詐欺の被害額が1274億円に達し、前年比で約46%増加したと発表しました。 認知件数は9538件で、1人あたりの平均被害額は約1300万円です。
そうした詐欺の入り口として問題視されているのが、バナー広告やSNS広告です。 有名人の顔写真や実名を無断で使い、投資話へ誘導し、LINEなどの外部チャネルで信頼を築いたうえで送金を迫ります。 送金手段は振込型が約7割、暗号資産送信型が約2割となっています。 この問題は単純ではありません。
東南アジア拠点の犯罪集団、広告を流し続けるプラットフォーム、そして、追いつかない規制などが複雑に絡み合っています。 ロイターの報道では、Metaは2024年売上の約10%が詐欺や禁止商品の広告由来だと内部試算していたとされます。 そこでDD2030が立ち上げたのが、Project Coreloopです。 DD2030は、2025年1月に発足したコミュニティで、「一人ひとりの声が政治・行政に届き、合意形成と政策反映につながる社会」を2030年までに実現することを目標に掲げています。
現在はSlackに1500人以上が参加し、テクノロジー、法制度、市民参加のあり方を横断して議論しています。 その第1弾が「ストップ詐欺広告」です。 利用者は、見つけた詐欺広告のスクリーンショットやURLを投稿できます。 詐欺広告は表示されてもすぐに消えるため、あとから追うのが難しいので、市民がその場で記録し、共有することが重要なのです。
この取り組みの狙いは、通報を受けるだけにとどまりません。 通報が積み上がれば、それは単なる被害報告ではなく、法規制やプラットフォーム責任を議論するためのエビデンスになります。 広告主の本人確認の義務化や削除対応の透明化を求めるうえでも、実態の裏付けは欠かせません。 詐欺対策としてユーザーひとりひとりの自衛が大切なのはもちろんですが、構造的な対策も同時に行うべきであり、現状だと、広告プラットフォーム各社の対策が実質的に働いていない状況にあることが大きな問題だと言えます。
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