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OpenAI、米軍との契約で波紋広がる:軍事利用を巡る倫理的ジレンマ

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OpenAI、米軍との契約で波紋広がる:軍事利用を巡る倫理的ジレンマ
Openaiサム・アルトマン米軍

OpenAIのサム・アルトマンCEOが米軍との契約締結を発表し、従業員から透明性の欠如を批判する声が上がっている。軍事利用を禁止していたOpenAIの利用規約が変更されたこと、MicrosoftのAzure OpenAIが国防総省で利用されていた事実、そしてAndurilとの提携など、軍との関係深化が明らかになる中、AIの軍事利用に関する倫理的な問題が浮き彫りになっている。

OpenAIの最高経営責任者(CEO)である サム・アルトマン は、同社が米軍と契約を結んだことで厳しい批判に晒されている。Anthropicと国防総省の約2億ドル規模の契約が頓挫した後に締結されたこの契約について、OpenAIの従業員からは批判が上がり、アルトマンに対して詳細な情報の公開を求める声が出ているのだ。アルトマン自身もソーシャルメディアの投稿で、この対応が「ずさんに見えた」ことを認めている。 この出来事は大きなニュースとなっているが、これは米軍が同社の人工知能(AI)をどのように利用できるかを巡って、OpenAIが曖昧な方針を設けてきたことを顕著に示す最新の事例にすぎない。 軍事利用 を禁じていたOpenAIの規約 2023年時点でのOpenAIの利用規約は、軍が同社のAIモデルにアクセスすることを明確に禁止していた。しかし事情に詳しい2人の関係者によると、OpenAIの一部の従業員が、国防総省がすでにマイクロソフトが提供する「Azure OpenAI」を使って実験したことを発見したという。「Azure OpenAI」はOpenAIのモデルに基づいたサービスだ。当時、マイクロソフトは数十年にわたり国防総省と契約関係にあった。同時にOpenAIの最大の投資家でもあり、このスタートアップの技術を商業化する広範な権利をもっていたのである。 同じ年、OpenAIの従業員は、国防総省の関係者がサンフランシスコにある同社のオフィスを歩いていたのを見ていると、関係者は語った。関係者らはOpenAIの内部事情について話す立場にないことから、匿名を条件に取材に応じた。 OpenAIの従業員のなかには、国防総省と関わることに警戒感を抱く人もいれば、OpenAIの利用規約の適用範囲に疑問を感じている人もいる。OpenAIの規約はマイクロソフトにも適用されるのか。関係者が『WIRED』に語ったところによると、当時その点は多くの従業員にとって明確ではなかったという。一方、OpenAIとマイクロソフトの広報担当者は、Azure OpenAIがOpenAIの利用規約の対象だったことはないと説明している。 「マイクロソフトには『Azure OpenAI Service』という製品があり、2023年に米国政府向けに提供を開始しました。このサービスはマイクロソフトの利用規約に従うものです」と、同社の広報担当を務めるフランク・ショーは『WIRED』への声明で説明した。マイクロソフトは、Azure OpenAIを国防総省へ提供を開始した時期に関する具体的な説明は避けたが、このサービスが政府の「最高機密」レベルの業務に承認されたのは2025年になってからだとしている。 「AIはすでに国家安全保障の分野で重要な役割を果たしています。安全かつ責任あるかたちで活用されるようにするためにも、わたしたちがその議論に関わることは重要だと考えています」と、OpenAIの広報担当を務めるリズ・ブルジョワは声明で語った。「この取り組みを進めるなかで、従業員には透明性をもって情報を共有してきました。定期的に状況を伝えるとともに、従業員が国家安全保障チームと直接対話したり質問したりできる専用の窓口も設けています」 この件について米国防総省に問い合わせたが、回答は得られなかった。 軍との関係が深まるOpenAI OpenAIは2024年1月までに、利用規約を更新し、 軍事利用 を一律に禁止していた条項を削除している。関係者によると、複数のOpenAI従業員は、この変更をニュースメディア『The Intercept』の記事を通じて初めて知ったという。その後、同社の幹部は全社会議でこの変更について説明し、今後この分野での事業を慎重に進めていく方針を示した。 さらにOpenAIは2024年12月、「国家安全保障ミッション」向けのAIシステムを開発、運用するため、 Anduril との提携を発表した。同じ関係者によると、この発表に先立ちOpenAIは従業員に対し、この提携は範囲が限定されており、機密扱いではない業務にのみ関わるものだと説明していたという。これは、Anthropicがパランティアと結んだ契約とは対照的だ。AnthropicのAIは機密扱いの軍事業務にも使われることになっていた。 2024年秋、パランティアはOpenAIに対し、自社の「FedStart」プログラムへの参加を打診しており、OpenAIの広報担当者もこれを認めている。ただし、OpenAIは最終的に参加を断った。事情に詳しい関係者2人によると、従業員にはリスクが高すぎるという説明があったという。とはいえ、現在OpenAIは別のかたちでパランティアと協力している。 Anduril との提携が発表されたころ、OpenAIの数十人の従業員がSlackの公開チャンネルで、同社の軍事分野での提携について懸念を話し合ったと関係者は語り、広報担当者もこれを認めた。なかには、同社のモデルはユーザーのクレジットカード情報を扱うにしても信頼性が低く、ましてや戦場で米国人を支援する用途には適していないと考える人もいた。 しかし、全員が同じ懸念を抱いていたわけではない。 Anduril との提携は、同社が軍事分野の提携を責任あるかたちで遂行できることを示すものだと考える従業員もいた。「広範な機密用途の対応において、OpenAIはこれまで『意思決定の前に入念な準備をする』慎重な姿勢をとってきました。国家安全保障への関与をどのように進めることが会社の使命と一致するのか、従業員も議論に参加するかたちで検討が進められています」と、現職のOpenAI研究者は語る。 監視につながる可能性 こうした背景もあり、OpenAIの最近の国防総省との契約は社内で意見が分かれることになった。アルトマンは公の場で、AIを合法的な大規模監視や自律型兵器の開発に使わせないというAnthropicが引いた「越えてはならない一線」を支持すると語っていた。しかし外部の法律専門家は、OpenAIの契約内容は、そうした活動の余地が残されているようにも見えると指摘している。 「この状況で最も大きな影響を受けるのは、一般の人々や紛争地域の民間人です」と、OpenAIの元地政学チームの責任者サラ・ショーカーは先週Substackのニュースレターで書いている。「技術設計や政策によって生まれる多層的な不透明性のために、戦争における軍事AIの影響を理解する能力は大きく制限されていますし、今後もその状態が続くでしょう。すべてがブラックボックスなのです」 独立系シンクタンクInstitute for Law and AIのシニア研究員のチャーリー・ブロックは『WIRED』に対し、OpenAIの公的な発言は、国防総省が法的には合法とされる監視活動に関与することが認められた可能性があることを示していると語った。たとえば、第三者企業から米国人のユーザーデータを購入し、それをAIで分析するといった方法が考えられる。OpenAIはその後、この懸念に対応するために契約内容を修正した。しかし契約の全内容が公開されない限り、一般の人々はOpenAIの説明を信じるしかない状況だと、ブロックは指摘する。 「(3月初めの)週末の時点で、OpenAIと国防総省の契約における当初の文言には重要な疑問が残されていることが明らかになりました。具体的にはAIを使って合法的な監視を可能にする新たな手法に関してです」と、OpenAIの研究者ノーム・ブラウンはソーシャルメディアで語った。ブラウンは、今後は「OpenAIの方針に関して、より積極的に関わっていくつもりです」と話している。 OpenAIが 軍事利用 を一律に禁止していた条項を削除してから2年あまりが経ち、同社は防衛分野との提携を進める方向に動いているように見える。3月上旬の全社会議で、アルトマンは、OpenAIは国防総省が自社のAIソフトウェアをどのように使うかを決める立場にはないと従業員に語ったと報じられている。またアルトマンは、同社のAIモデルを北大西洋条約機構(NATO)に提供することにも関心を示している。 (Originally published on wired.

com, translated by Nozomi Okuma, edited by Mamiko Nakano) ※『WIRED』によるOpenAIの関連記事はこちら。 Related Articles 米国防総省がAnthropicをサプライチェーンリスクに指定、法廷闘争に発展か 戦場はどこまでAIに委ねられるのか──その限界を巡る議論 テック企業は愛国心が足りない」──パランティアCEO、アレックス・カープの戦争 未来の可能性を拡張するアイデアとイノベーションのエッセンスを凝縮した、毎年恒例の大好評企画の最新版「THE WIRED WORLD IN 2026」。世界中のクリエイターや実業家、科学者など40名超のビジョナリーが、テクノロジーやビジネス、カルチャーなど全10分野において、2026年を見通す最重要キーワードを掲げた総力特集! 詳細はこちら。

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