ChatGPTを開発する米OpenAIが、数日から数週間以内にも新規株式公開(IPO)を申請する見通しだ。米Wall Street Journal(WSJ))が5月20日に報じた。早ければ9月にも上場する可能性がある。
OpenAIのChatGPTは、多くの人にとってAIの代名詞的な存在だ。 GoogleのGeminiやAnthropicのClaudeといった競合が攻勢を強めるなかでも、その勢いは衰えていない。
人間が書いた文章をまねるよう訓練された大規模言語モデルを土台とするChatGPTは、依然として広く使われている。 ただし、もはや一強とは言い切れない。5月18日には、イーロン・マスク氏との法廷闘争でも勝訴した。 この判断が、IPOに向けた協議の地ならしとなった。 OpenAIの広報担当者は、コメントの要請にすぐには応じなかった。
OpenAIにとって、IPOはきわめて大きな賭けだ。 経営の中身を市場に開示することは、好機であると同時にリスクでもある。 株式を売り出せば数十億ドル規模の資金を調達でき、投資家の注目と資本を集められる。 それは、次世代のAIモデルを訓練するために欠かせない膨大な計算資源の確保にもつながる。
コーネル大学で財務を専門とするミンモ・ガーン助教は、「OpenAIは、製品がすでに数億人に日常的に使われている数少ない非上場企業の1社だ」と語る。
「これほどの知名度があれば、個人投資家からの旺盛な需要を呼び込める。 企業の実力だけでは説明がつかないほど高い評価額も、それによって支えられる可能性がある」 一方で、AIへの過熱ぶりはかつてない水準にある。 上場企業は財務情報を定期的に開示する義務を負う。 OpenAIの運営費やインフラ投資は天文学的な規模に達しており、売上の伸びがこれに追いつかなければ、投資家が一斉に動揺しかねない。
割高な価格で初値が付けば、ささいなつまずきが株価急落の引き金になる恐れもある。 上場はまた、米証券取引委員会(SEC)をはじめとする規制当局の監視を招くことにもなる。 その過程で、これまで表に出ていなかった負債や、データプライバシーをめぐる訴訟、著作権の問題が明るみに出る可能性もある。 SpaceXやAnthropicも上場を目指している。
OpenAIが上場のタイミングを急ぐ背景には、公開市場の資金を取り込み、AI業界全体の評価基準をウォール街で先んじて固めたいという思惑がある。 なお、AI開発競争の大きな足かせとなっているのが、計算能力だ。 AIモデルを訓練し、動かすには、サーバーやチップ、データセンターといった物理的な基盤が欠かせない。
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