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この夏、米国の水危機が現実になりつつある

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この夏、米国の水危機が現実になりつつある
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コロラド川の水位低下と、テキサス州コーパスクリスティの干ばつ危機。気候変動と産業による過剰利用が重なり、米国の水問題が現実の危機として浮上している。専門家は、ほかの地域もいまから備えるべきだと警告する。

米国でいま、ふたつの水危機が同時に進行している。 気候変動と産業による過剰利用が、その深刻さに拍車をかけている。 この夏、テキサス州コーパスクリスティでは干ばつによる緊急事態が迫り、コロラド川流域では水不足を背景に、長年の政治的対立が臨界点に近づいている。

専門家は『WIRED』に対し、ほかの地域もこれを他人事として見過ごすべきではないと警告する。 いまから将来に備え、計画を立てる必要があるという。 米西部各地の山岳地帯では、記録的な暖冬を経た2月、積雪量が過去最低を記録した。 さらに3月はそれ以上の暑さとなり、西部各州で気温の記録が次々と塗り替えられた。

コロラド州立大学コロラド水資源センターの上級研究者ブラッド・ユードールは、「3月に起きたことは前例がなく、衝撃的で、深刻で、率直に言って現実離れしています」と語った。

「これほどの気温はこれまで一度も観測されたことがなく、人為的な気候変動なしには起こりえません。 積雪もひどい状態で、わずか3週間で最悪の状態から、さらに目を覆うほどの惨状へと悪化しました」 この雪解けの危機は、西部にとって最も重要な水源のひとつであるコロラド川に深刻な影響を及ぼしている。7州にまたがり約4,000万人に水を供給するこの川では、今年は雪解けが早まった影響で、4月22日(米国時間)には一部で流れがほとんど途絶えるほどに弱まった。 コロラド川の役割は水供給にとどまらない。

国内最大級の貯水池であるレイク・パウエルとレイク・ミードのダムを通じて、2,500万人以上に電力も供給している。 だが、水位の低下は発電にも直撃する。4月28日の時点で、レイク・ミードの水位は、2022年7月に記録した最低水位からわずか約5m上にとどまっている。 争いが続くコロラド川流域 この記録的な乾燥は、コロラド川を巡る数十年にわたる政治的対立とも重なっている。 長年にわたり、同川の水を利用する各州は、その配分をいかに公平に分けるかを巡って対立を続けてきた。

農業の拡大と、気候変動に拍車をかけられた干ばつが重なり、水資源の長期的な持続可能性そのものが揺らぎ始めている。 なかでも、牛の飼料用アルファルファは最大の水消費源で、流域の都市すべてを合わせたよりも多くの水を使っている。 各州は、水の配分ルールを定めた1922年のコロラド川協定の見直しに向けた交渉で、今年2月を含む重要な期限を相次いで逃してきた。 同協定では、コロラド川の水は年ごとに各州へ割り当てられ、上流域と下流域にほぼ均等に分配されることになっている。 4月初め、夏に向けた深刻な見通しを受け、米内務省が対応に乗り出した。

レイク・パウエルでの水力発電を維持するため、一連の措置を打ち出したのだ。 だがその代償として、この対応がレイク・ミードでの発電能力や、下流域の各州に供給される水量の減少につながる可能性を政府も認めている。 こうした混乱のなかで、ユードールは、今季の水不足が数年以内に歴史的な事態を招く可能性があると指摘する。 コロラド川の上流域の州が、下流域の州に十分な水を供給できず、1922年の協定に初めて違反する事態だ。

州間の訴訟に発展する可能性もある。

「率直に言って、こうなることは予見できたはずです」とユードールは語る。 「わたしたちのように状況を理解している人間、そしてコロラド川流域の多くの人たちは、こうした事態がいつか起きると、ずっと前からわかっていました」 水源が底をつく街 これほど深刻な状況にもかかわらず、コロラド川に依存する数千万人が「デイ・ゼロ」──すなわち都市の水源が枯渇する事態──に直面する可能性は高くないとみられている。 米国でそこまで至った都市は、これまでにない。 だが、その例外に近づきつつある地域がある。

テキサス州で8番目に大きい都市、コーパスクリスティでは4月24日、市当局が9月までに干ばつ緊急事態のレベル1に達する見通しだと発表した。 これは、水需要が供給を180日間上回る状態を指す。 さらに、一部の予測では、まとまった降雨をもたらす気象パターンが現れない場合、来年にも都市の水源が枯渇する可能性があるとされている。 コーパスクリスティではすでに水の使用制限が始まっている。

芝生への散水や洗車には制限が設けられ、家庭の水道料金も今年、平均で5ドル弱(800円弱)引き上げられた。 市当局は、9月には産業用の大口利用者に対し、使用量を25%削減するよう求める方針だ。 こうした措置について、市のシティマネージャーであるピーター・ザノーニはNBCに対し、レベル1の干ばつ緊急事態の宣言を9月まで見送る理由について「地域経済を壊したくはないのです」と説明した。

「企業の操業停止は避けたいです」 コーパスクリスティの水源は、その大半を川や湖などの地表水に依存している。 主要な供給源であるチョーク・キャニオン貯水池とレイク・コーパスクリスティは、干ばつの長期化によって、この数年で危機的な水位まで低下した。4月26日時点で、それぞれの貯水率は7.4%と8.7%にとどまっている。 産業が飲み干す水、頓挫する対策 コーパスクリスティの水問題の多くは、産業による水使用に起因している。

同市は石油化学産業の一大拠点であり、『Inside Climate News』が入手した許可データによると、最大の水使用者は、エクソンモービルとサウジアラビアの大手石油化学企業、Saudi Basic Industries Corporationの合弁によるプラスチック工場だ。 この工場は、2022年から24年にかけて、1日あたり平均1,350万ガロン(約5,100万リットル)の水を使用していた。 一方、同市によると、一般家庭の平均的な水使用量は月6,000ガロン(約2万3,000リットル)にとどまる。 (エクソンモービルは取材に対し、コメントを控えた。

) 同市では長年、産業向けの水供給を確保するため、海水淡水化プラントの建設が検討されてきた。22年に稼働を開始したエクソンモービルのプラントも、供給先のひとつと想定されている。 だが計画は、想定コストが10億ドルを超える規模に膨らみ、住民からも生態系への影響を懸念する声が上がった。 当局は昨年、この計画の見送りを決定したが、代替となる水供給策は示されないままとなっている。 さらに4月末、『Houston Chronicle』は、テキサス州のグレッグ・アボット知事の事務所が、別の淡水化プラント計画に対する追加資金の拠出を拒否したと報じた。

こうした状況について、テキサス工科大学の水と環境研究センターでディレクターを務めるシェーン・ウォーカーは、次のように指摘する。

「この状況から多くの都市、特に南西部の都市が学ぶべきことがあります。 水インフラの整備は、時間が経つほどコストが上昇していきます。 待てばより安くなると考えているなら、おそらく現実はその逆です」 企業誘致と、水資源として維持できる範囲とのあいだで生じる綱引きは、都市計画に常につきまとう問題だとウォーカーは指摘する。 テキサス州では人口増加が続き、多くの都市が水需要の見通しに苦慮している。

だからこそ、より長期的な視点での計画が求められている。

「20年先を見据えることを差し迫った課題として捉える必要があります」とウォーカーは語る。 「地下水に頼っているなら、それは有限の資源です。 湖も干ばつの影響を受けます。 では、代替となる水源は何でしょうか」 ふたつの水危機が示す未来 コーパスクリスティとコロラド川の双方にとって、短期的にはいくぶんの持ち直しも見込まれている。

先の水資源に関する報告会で、ザノーニは、最近の降雨が地域にとって「有益」だったと説明し、同市の水源のひとつであるレイク・テクサナの水位回復に寄与していると述べた。 ユードールも、西部ではここ最近の降雨によって、状況が一定程度安定してきたと指摘する。 さらに、今後発生が見込まれるエルニーニョ現象──観測史上でも有数の強さになるとみられる──が、この夏、西部にモンスーンの雨をもたらす可能性がある。 だが、コーパスクリスティの都市レベルの問題と、コロラド川流域の広域的な危機には共通点がある。

じわじわと進行する問題への対応の遅れと、産業による水使用の拡大が、それを一層悪化させてきた点だ。 気候変動は、こうした水危機を新たな限界点へと押し上げている。 コロラド川の現状について、ユードールはこう語る。

「世界では気候変動による大規模な出来事がすでに数多く起きています。 しかし今回のケースは、初めて政策レベルの抜本的な判断を迫る、地球規模の気候危機になるかもしれません。 そして、それはわたしたちの運用のあり方そのものを変えることになるでしょう」 ユードールはさらにこう続けた。

「7つの州と2つの国、4,000万人以上の人々、多くの農家、そして主要都市が、水の使い方を根本から見直さざるをえなくなります」 (Originally published on wired.com, translated by Miki Anzai, edited by Mamiko Nakano) ※『WIRED』による地球温暖化の関連記事はこちら。 水の関連記事はこちら。 Related Articles 米西部に熱波到来──エルニーニョと重なり、気象の乱れが続く可能性 AIは水を大量に浪費しているのか?

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