第1回:米国プラットフォーム事業者に無制限の免責を与えた「通信品位法230条」の功罪と、現在の論点第2回:EUと日本におけるプラットフォーム規制・デジタル主権の議論に見える、米国とは異なる視点 第3回:こどものSNS規制、先駆けて「禁止」した豪州と、議論を進める各国の動向
豪州(オーストラリア)は、2025年12月施行の改正オンライン安全法により、指定した大規模な SNS に対し、16歳未満のアカウント保有を防止するための合理的措置を義務化した。世界初の国家がこどもの SNS 利用を禁止したものとして話題になっているが、さまざまな問題を提起するものともなっている。 この規制の発端は、 SNS におけるいじめによる自殺に対して、保護者が規制強化を求めたことにある。これを受けて議論された基本的な目的は、各国で議論されている内容と変わらず、違法・有害な情報のこどもへの影響を防止することである。その結果として、一律禁止というもっとも強度の高い規制が施行されることとなった。 EU全域ではDSA(Digital Service Act:デジタル サービス 法)による規制が2024年4月から始まっている。こどもの保護に特化したものではなく、 SNS も含むインターネットの仲介事業者に対して違法・有害情報対策を含む利用者の保護を求めるものであり、その中で、未成年者の保護措置等を行うことを義務付けるものとなっている。2025年7月にガイドラインを発行しており、極めて詳細な措置内容が示されている。米国では、連邦レベルでCOPPA 2.
0(Children and Teens’ Online Privacy Protection Act 2.0:児童・青少年オンラインプライバシー保護法)およびKIDS Act (Kids Internet and Digital Safety Act)が審議の最終段階にある。さらには、州レベルでも成立または審議中の規制が数多くある。日本におけるこどもの保護に関する法制度は世界でも早い方で、青少年インターネット環境整備法が2009年4月に施行されている。18歳未満への有害情報のフィルタリング機能の実装や周知に関する義務化がおもな規制内容となっている。近年の海外の事例と大きく異なる点は、利用の禁止や事業者に一方的な年齢制限による規律を課すものではないということである。基本的な視点は年齢に応じたリテラシーの向上をめざすものであり、SNS事業者ではなく携帯電話会社、アプリストアやOS事業者が用意したフィルタリング機能を、保護者とこどもが相談の上利用することを求めることが中心となっている。 また、対象とされているリスクが限られており、こどもへの性被害、誹謗中傷などのいじめ(被害だけでなく加害者となることも含む)、長時間利用によるメンタルヘルスへの影響など、今日危険視されている多くの問題が解決されていない。そのため、より実効的な環境整備法の改正(2027年が目標)、新たな法的枠組みの必要性が議論されている。ただし、利用禁止といった無菌状態に置くとリテラシーが醸成されず、大人になった際にいきなりインターネットが解禁されるのはかえって危険であると同時に、インターネットの正しく有用な利用が阻害されるとして、慎重な議論となっている。 また、この勧告をもとにデジタルサービスプロバイダーに向けたOECDガイドラインが公表されており、チャイルドセーフティー・バイデザイン、情報の提供と透明性、プライバシー、データ保護、商用利用、ガバナンスとアカウンタビリティの項目ごとに具体的な対応方法が示されている。 世界各国で進むSNS規制は、概ねこのリスクへの対応とガイドラインで示されたSNS事業者が取るべき対策の実現に沿ったものとなっている。ただし、重きを置くポイントと規制の強度が大きく異なっている。その違いの原因は、こどもの権利における保護と尊重のどちらを重視するか、健全な成長の促進をどのように実現するかの違いにあると考えていいだろう。
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