“復興への思い” 福島からつなぐ東京五輪聖火リレー nhk_news
沿道には地元の住民や小学生などが集まり、町の担当者や警察官がマスクを着け、間隔をあけて並ぶように呼びかけました。そして出発時間の午前11時16分になると、校舎の敷地内からランナーが走り出し、集まった人たちは旗を振って見送っていました。
町内から親子3人で訪れた38歳の父親は「コロナ禍でオリンピックのムードは下がっていると思います。原発事故は10年たっても収束しておらず、避難している人がいまだにたくさんいるという現状が、国内外の人たちに正しく伝わってほしいです。明るい話ばかりでなく暗い部分もあることを知ってもらいたいです」と話していました。 地元の広野町を走った西本由美子さん(67)は東日本大震災と原発事故の後、子どもたちと被災地に桜の木を植える活動を続けてきました。聖火リレーを終えた西本さんは「桜は私たちの走りを喜んでいるかのようにほこらしげに咲いていました。震災から10年がたっても復興は道半ばですが、子どもたちが楽しみにしていた聖火リレーができて、やっと一つ願いがかなったなと感無量です」と話していました。集まった人たちはマスクを着けていましたが、混雑で隣の人との距離がほとんど取れない場所もあり、警察官や聖火リレーのスタッフが「大きな声を出したり飛び跳ねたりせず、ルールを守って応援してください」と呼びかけていました。
市内に住む70代の女性は「近くに用事があり、ちょうどよいタイミングだったのでぜひ見たいと思って来ました。オリンピックには賛否両論あると思いますが、大会が開催されて元気をもらえたらうれしいです」と話していました。福島県いわき市の温泉リゾート施設を舞台にした2006年公開の映画「フラガール」に出演したお笑いコンビ南海キャンディーズのしずちゃん(42)は、いわき市内を聖火を持って走りました。しずちゃんは「スケジュールに問題がなかったのでぜひということで走りました。いわき市を走らせていただいてありがたいです。コロナ禍で暗い話が多く、みんながつらい思いをしながら生きている中で、楽しいことをお伝えできればと思いながら走りました。力になれることがあればまた、いわき市に呼んでいただきたいです」と話していました。福島県の浜通りを代表する桜の名所「夜の森地区」がある富岡町では、聖火リレーを盛り上げようと役場の職員が考案した横断幕と桜色のハリセンが配布され、沿道の住民たちは声援を送るかわりに手でたたいて応援しました。多くの住民が見守るなか中学1年生の嶋田晃幸さんが走り出し、祖母の征子さん(75)がハリセンと