EU、30年ぶり対中制裁決定 ウイグル人権問題で
【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は22日開いた外相理事会で、中国での少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして、中国の当局者らへの制裁を採択した。対中制裁は約30年ぶりで、同日付で発動した。ブリンケン米国務長官が同日から就任後初めて欧州を訪問するのに合わせ、協調姿勢をアピールする狙いがありそうだ。
経済関係を中心に中国と親密な関係を築いてきたEUだが、2020年の香港の国家安全維持法制定に伴う民主化の後退などでEU首脳らが中国を批判する場面が目立ってきた。だがそれも「口先」にとどまってきた。今回の30年ぶりの制裁決定は実効性よりも象徴的な意味合いが大きいものの、「蜜月」とも言われた中国とEUの関係の変化を示している。制裁を可能にした理由には制度面の改善もある。「なぜEUの価値観に関する簡単な声明さえ、出すのが遅れるのか」。フォンデアライエン欧州委員長は20年9月、外交の意思決定が迅速にできないことを嘆いた。EUの外交に関する意思決定は原則として加盟27カ国の全会一致が必要だ。親中の国が1つでも反対すれば行動に踏み出せない。
「(ウイグル関連に続いて)香港の民主主義を解体した人々への制裁が実施されねばならない」。20日、有力欧州議員らが入る「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」がツイッターへの投稿で、早速「次の矢」をEUに促した。ウイグル族への人権侵害に関する制裁だけでは、中国への対応は不十分との考えだ。 投資協定の交渉でも、最後まで残ったのが強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約を中国が批准するかどうかだった。まして人権や民主主義は、EUが最も重視する基本的な価値だ。人権の概念の発祥の地である欧州では、戦後すぐの1950年に欧州人権条約が世界に先駆けて調印され、人権への意識は高い。そのEUが基本的価値を軽視して、経済的利益を優先したとみられれば、批判が一段と高まるのは必至だ。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
EU、中国念頭に買収規制 外国政府支援の企業に通知義務(写真=AP)【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は、中国への対応を念頭に企業買収の規制を強める。EUの欧州委員会は5日、外国政府から補助金などの支援を受けた企業がEU域内の企業を買収する際に通知を求める規制案を発表した。欧州は安全保障やハイテク分野で特に警戒を強めており、同国との距離が鮮明になっている。「EUは開かれた市場だが、公正さは確保されねばならない」。5日の記者会見で、欧州委のベステアー上級
続きを読む »
EU、ファイザー製18億回分契約 新型コロナワクチン(写真=AP)【フランクフルト=深尾幸生】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は8日、欧州委員会が米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンを18億回分契約したことを明らかにした。2023年までの3年間に供給を受ける。単純計算でEU市民が約4回接種できる量を確保した。フォンデアライエン氏はツイッターで「ビオンテック、ファイザーと9億回分のワクチンと9億回分の追加の権利を
続きを読む »