生成AIの業務活用が広がる中、著作権侵害や情報漏洩、パブリシティ権の問題など法的リスクが顕在化している。企業が採るべき具体的な対応策と従業員の留意点を解説する。
現代のビジネス環境では、学生時代からAIを活用してレポートを作成する人も少なくない。 しかし、社会人として業務でAIを利用する際には、法令や社内規定への厳格な遵守が求められる。
違反時には個人だけでなく企業全体の責任問題に発展する可能性があるためだ。 例えば、プレゼン資料の作成に生成AIを用いる場合、学習データの一部が直接出力されるわけではないが、著名なキャラクターの画像生成を指示すれば類似する創作物が生成されることがある。 ネット上の記事を要約する際にも、表現が原典と酷似していれば著作権侵害を問われるリスクがある。 音声は著作権の保護対象外だが、タレントの声を無断でAIに学習させ営利目的で使用すると、氏名や肖像権を保護するパブリシティ権を侵害する可能性が高い。
さらに、企業秘密をAIに入力した場合、他のユーザーが同じシステムを利用した際に情報が漏洩するおそれがある。 こうした事態が生じれば、不正競争防止法の保護対象から外れ、損害賠償請求が難しくなるケースもある。 企業レベルの対策として、社員に専用のAIアカウントを付与し、私的利用を禁止することで情報漏洩リスクを軽減できる。 また、社内規程の整備や、技術動向と法的リスクに関する継続的な研修実施も有効だ。
AIの業務活用は効率化に寄与する面もあるため、社員が過度に萎縮せずに済む環境整備が重要となる。 著作権法は「表現」を保護するが「作風」は保護しないが、この境界線は一般の人にとって判断が難しい。
「何々風の画像を出力して」といった指示で生成した創作物を公開・商用利用する場合、法的リスクを伴う。 日本では、AIへの著作物学習に権利者許諾は不要とされるが、類似表現の生成を目的とした学習は違法とみなされる可能性がある。 個人情報保護委員会は、要配慮個人情報(既公表の病歴など)を統計作成目的に限り、本人同意なしに利用可能とする個人情報保護法改正案を国会に提出した。 しかし、一般社員がAIを操作する際には、意図せず個人情報が拡散される危険を避けるため、入力行為に細心の注意を払う必要がある。
自律的に複数タスクを実行するAIエージェントに関しては、社内文書への無断アクセスや改変・削除のリスクが指摘されている。 福岡真之介弁護士(AI法務専門)は、企業側がアクセス権を制限し、全ての処理過程で人間による承認を必須とする設計を検討すべきだと提言している
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