少子化の原因として未婚化、ひいては若者の恋愛離れが問題視されがちだ。本当にそうなのか。東京財団政策研究所主任研究員の坂元晴香さんは「交際相手がなく異性との交際に興味がないと答…|BIGLOBEニュース
で、統計を開始した1899年以降最も少ない数となり、初めて80万人台を下回った。政府も「異次元の少子化対策」を打ち出すなど、止まらない少子化をいかにくいとめるかが喫緊の課題となっているが、残念ながら現在のところ出生数が回復基調に戻る兆しはない。
そもそも我が国における少子化の最大の要因は未婚者数の増加である。実際のところ、結婚した夫婦から生まれる子どもの数(完結出生児数)は1970年代から2002年頃までは2.2前後で推移してきた。この数年の間に緩やかに減少傾向になっているものの、2015年では1.94と引き続き高い水準を維持している。 仮に、恋愛や結婚をしないことが「若者の価値観の変化」や「娯楽の多様化」であれば、収入や雇用形態・学歴でこのような差が生じることはない(正規職員・高所得者層でも一定程度の未婚者や異性との交際に興味がない人がいるはずである)。しかしながら実際には、恋愛や結婚をしていない増えた未婚者の大半は、低収入、非正規・無職の男性なのである。
出生動向基本調査では(おおよそ5年に1回実施)、毎回の質問で生涯にわたる結婚の意思の有無を聞いているが、1987年から2015年までの間、「いずれ結婚するつもり」と回答している人の割合はほぼ変わらず、男女ともに90%近くが結婚の意思を示しているのである。ここから見えてくるのは、「若い世代の価値観の変化」ではなくむしろ「結婚したくても収入や雇用環境が足枷となり結婚“できない”若い人の姿」であろう。また、変わる結婚への価値観についてもここで触れておきたい。以前は女性が男性に求める結婚条件として「3高(高収入・高学歴・高身長)」などと言われてきたが、最近では「3低(低姿勢、低依存、低リスク)」とも言われる。特に注目するのが“低リスク”の部分であるが、若い世代の結婚に対する価値観は、男性が外で働き一馬力で家庭を支え、妻が専業主婦となり育児・家事を担うという“昭和モデル”はあまり想定していない。むしろ、経済的負担も、家事育児負担も一緒に担っていくという考え方をする人が増えている。