NTT接待問題、強い権限と甘い認識 総務省で相次ぐ接待 総務省は東北新社への調査で、同社以外のの接待はないと結論付けたが、新たにNTTの問題が浮上。泥縄的な対応に批判が集まっており、徹底した調査を行う考え。 ただ、ある総務省幹部は「やぶ蛇になる」と警戒する。
総務省の接待問題は、放送事業会社「東北新社」にとどまらずNTTにも広がったことで、さらに他の事業者にも拡大する可能性が出てきた。問題が相次ぐ背景には、総務省が事業者に対して強い権限を持つ一方、同省職員の利害関係者や接待に対する認識の甘さが浮かび上がる。本来なら官民が協力して社会のデジタル化を進めなければならない中、不祥事により両者の足並みが乱れている。総務省は東北新社への調査で、同社以外の事業者からの接待はないと結論付けたが、新たにNTTの問題が浮上。同省の泥縄的な対応に批判が集まっており、徹底した調査を行う考えを示した。
ただ、ある総務省幹部は「やぶ蛇になる」と警戒する。デジタル化を推進する総務省は、官民共同でプロジェクトをやることも少なくない。打ち上げなど飲食を供にすることもあり、事業者側が負担するケースも「ないとは言い切れない」(同幹部)からだ。 一方で総務省の権限は強大だ。中でも放送事業者や通信事業者への電波の割り当ては、事業者にとって死活問題となる。使える電波帯域は限られていることから、参入できる事業者数などは決まっており、一定の水準を満たせば認可される他業種と比べ、新規参入も困難とされる。民間との距離が近い一方で、強い権限を持つ総務省。通常よりも高い倫理観が求められるが、一連の問題では安易に接待を受け、必要な届け出も行われていない実態が浮き彫りとなった。
国家公務員倫理規程では利害関係者と1万円超の飲食をする場合、自費でも事前の届け出をする必要がある。ただ同省によると、平成27年度以降の6年間で届け出の件数はわずか8件といい、制度が形骸化していた可能性も拭えない。