米国の労働組合が所有する最大手の銀行、アマルガメーテッド銀行がこのほど、アフリカ系米国人に対する補償への支持を表明した。
アマルガメーテッド銀行は米国の大手行で初めて、アフリカ系米国人への補償提案を検討する委員会の立ち上げを内容とする「HR40法案」を支持した。同法案はシーラ・ジャクソン・リー下院議員(民主党)が提出した。ニューヨークを拠点とする同行はこれまでも進歩主義を支持し、銃暴力反対の政策や最低賃金の20ドルへの引き上げを支持する初の銀行となっていた。法案の「40」は連邦政府が初めて奴隷に対する補償として約束した「40エーカーとラバ1頭」から取ったもの。リンカーンの後に大統領となったジャクソンはこの宣言を撤回。黒人の経済活動拡大の希望は消え、人種差別に基づく制度に道を譲った。銀行や金融業界もその拡大に寄与した。
今日、黒人は従来型の銀行口座を持っていないか、日常的に使用していない傾向がより強い。また、銀行には黒人地区に対する住宅ローンの提供を拒否する「赤線引き」と呼ばれる慣行があると言われている。逆に、低所得者向けの住宅ローン(サブプライムローン)など、少数派の人々を対象にした搾取的な貸し付けを行う「逆赤線引き」の慣行も続いていると消費者団体は指摘する。アマルガメーテッド銀行のリン・フォックス取締役会議長兼暫定最高経営責任者(CEO)は「HR40法案は公平な経済を作るために国を前進させる基本的な最初のステップだ。そうした経済は全ての人に繫栄と基本的ニーズの充足の機会を与える」と述べた。補償金額の総額は「40エーカーとラバ1頭」を現在の価格で考えると、推定で12兆~35兆ドル(約1300兆~3800兆円)となる。
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