米中外交トップ会談、異例の応酬 冒頭発言全文(上)
ブリンケン氏「こんにちは。ようこそいらっしゃった。サリバン大統領補佐官と私の2人を代表して私が、楊潔篪共産党政治局員と王毅(ワン・イー)国務委員兼外相を歓迎し、アラスカまではるばる来られたことに謝意を伝えたいと思う。私自身、オースティン国防長官とともに、わが国にとって最も近い同盟国である日本や韓国の担当者との会談から戻ってきたところだ。日韓とも本日、明日とこの場で行う米中間の議論に大きな関心を示していた。我々がここで提起する問題は米中両国のみにとどまらず、地域や世界全体に関わるものだからだ。我々の政権は米国の利益を促進し、ルールに基づく国際秩序を強化する外交を進めると決意している」
「ブリンケン氏と私は(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)の抑制や経済の回復、民主主義の強さと持続力の確認など、バイデン大統領のリーダーシップのもと米国が成し遂げてきた一連の出来事を誇りに思う。特に我々の外交方針の基盤である同盟関係やパートナーシップを再び活性化させるための取り組みを誇りに思う。つい先週、バイデン大統領は日米豪印4カ国の首脳会議を開催した。世界の民主主義国家のチャレンジ精神について話し合うとともに、自由で開かれたインド太平洋構想の実現を約束した。このようなパートナーシップを通じ、我々は進歩と繁栄を国民にもたらすことができる。ブリンケン氏は経済的・軍事的に強制する行為から基本的な価値観への攻撃まで懸念される多くの分野を説明したが、今日と今後数日間、皆さんと議論していく。これらの懸念は米国民だけのものではない。直近2カ月間に集中して実施してきた協議の中で、世界中の同盟国やパートナー、幅広い国際社会からも提起されるのを聞いてきた」
「一部の国がしかけた戦争で多くの犠牲者が世界で出ている。しかし中国が他国に求めてきたのは、平和的発展の道を歩むことであり、これこそが我々の外交方針の目的だ。軍事力を行使して侵略したり、様々な手段で他国の政権を倒したり、他国の人々を虐殺したりすることは正当ではない。それらの行為は世界に混乱と不安定さをもたらすだけだからだ。結局のところ、そうした行為は米国のためにはならない」 「我々は輸出入に関わる問題を科学や技術に基づいて処理している。ブリンケン長官、あなたは日本や韓国から戻ってきたばかりとおっしゃった。日韓は中国にとって第2位、第3位の貿易相手だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)は欧州連合(EU)や米国を抜き、中国の最大の貿易相手となっている。そのため、我々は米国がアジア太平洋地域の全ての国と健全な関係を築くことを望んでいる。我々は共通の友人を多く持つべきだ。それが21世紀の正しい道だ」
「両国間に競争があるとすれば、経済的側面に焦点をあてたものになるべきだ。経済的関係の摩擦については合理的なやり方で対応し、ウィンウィンの成果を求めることが重要だ。両国間の貿易はすでに多くの成果をあげているが、さらに良いものとしていくべきだ。中国に進出する圧倒的多数の米国企業は、中国の事業環境は良好で、中国にとどまることを強制されているものではないと述べている。こうした米国企業は中国にいることで利益が得られると考えているし、計り知れない機会があるとも考えている。だから米国企業は中国にとどまっているのだ。新たな環境のもと、両国はコミュニケーションを強化して互いの意見の相違を適切に管理し、対立関係ではなく協力関係を広げていく必要があると確信している」