競泳長距離“鬼門”突破なるか 男女エースが五輪派遣に挑む 男子の竹田渉瑚(しょうご)=オーエンス=と女子の小堀倭加(わか)=セントラル戸塚=が日本勢3大会ぶりとなる五輪切符獲得に挑む。ともに日本水連が定めるハイレベルな派遣標準記録突破を射程内にとらえる。
近年、競泳界で世界と差をつけられてきた日本の自由形長距離陣が飛躍の時を迎えようとしている。東京五輪代表選考会を兼ねる日本選手権(4月3日開幕、東京アクアティクスセンター)で、男子の竹田渉瑚(しょうご)=オーエンス=と女子の小堀倭加(わか)=セントラル戸塚=が日本勢3大会ぶりとなる五輪切符獲得に挑む。ともに日本水連が定めるハイレベルな派遣標準記録突破を射程内にとらえる。両エースは自身の夢だけでなく、日本長距離界の未来を背負って大一番に臨む。競泳の長距離種目は自由形の1500メートル、800メートルを指す。技術力が鍵となる平泳ぎ種目などと異なり、自由形は体格差や筋力面で欧米選手に劣る日本勢の鬼門とされてきた。とりわけ長距離はわずかな遅れが、大きな差につながる。800メートルと1500メートルの世界記録と日本記録は、男女ともに20秒前後の差がついているのが実情だ。
さらに日本水連は、代表選考において五輪の準決勝進出が見込める世界ランク16位相当のタイムを目安とした独自の「派遣標準記録」を設定している。男子の場合は派遣標準記録がほぼ日本記録にあたる。この設定が導入された2004年アテネ五輪以降、長距離では同五輪女子800メートル金メダルの柴田亜衣さんが08年北京五輪に出場したのが最後。男子だけをみれば、一度も五輪に代表選手を送り込めていない。 この高すぎる壁を打ち破ろうとしているのが、1500メートルを主戦とする26歳の竹田だ。2018年4月の日本選手権1500メートルで、日本記録まで0秒62と迫る14分55秒42をマーク。日本史上4人目となる15分切りを果たし、同年のアジア大会代表に名を連ねた。