際どいコースをストライクと判定してもらうための捕球技術「フレーミング」。大リーグのトップとワーストの捕手を比べると貢献度に30点分もの差が生まれる計算に。楽天に復帰した田中将大投手も重視しています。
今季、米ヤンキースから楽天に復帰した田中将大はキャンプ中、新たな女房役に「フレーミング技術の向上」を要望したという。「フレーミング」とは、際どいコースをストライクと判定してもらうための捕球技術を指す。日本ではまだなじみの薄い言葉だが、大リーグでは広く認知され、捕手の評価に使われている。では実際、フレーミングの巧拙により、どれほどの差が生まれるのだろう。
フレーミング能力はどのようにして測るのか。以前、審判についてのコラムでも紹介したが、ルールブックと現実のストライクゾーンは必ずしも一致していない。ルール上では入っているのにボールと判定されることが多いコースもあるし、理屈では外れているのにストライクになりやすいコースもある。フレーミング能力を測定するには、際どいコースがストライクと判定される期待値に対し、どれだけ差があるかを測る。例えば平均40%しかストライクと判定されないコースが、ある捕手がマスクをかぶっているときに限って50%の確率でストライクになるとしよう。この差は投手の球筋や、審判が投手に抱く先入観など様々な要素が絡み合って生まれているはずだが、捕手のフレーミングにもそれなりの要因があると考えていいだろう。
反対に、貢献度での最下位はホワイトソックスのジェームズ・マッキャン(現在はメッツ)。境界線付近のストライク率は44.9%、貢献度は平均比マイナス15点だった。つまりメジャーのトップとワーストを比べると、フレーミングだけで貢献度に30点分もの差が生まれるのだ。50点前後の差がつくこともある打撃には及ばないが、これは肩やバント処理、ボールを後ろにそらさないブロッキングの巧拙などが生む違いよりもはるかに大きい。米国のアナリストたちによると、ストライクを取ってもらいやすいキャッチングの傾向とは、捕球の瞬間にミットがむやみに流れたり、体や頭がいたずらに動いたりしないことだという。体操選手のフィニッシュのように、その瞬間、ピタリと止まるのが望ましいようだ。
例えば、16年のバスター・ポージー(ジャイアンツ)はフレーミングでメジャー最多の30点分の貢献をした。しかし上述の通り、19年のトップは15点にとどまっている。今後、審判の技術が一段と向上すれば、その数値はさらに縮小するだろう。さらに、打撃力や強肩に比べると、フレーミングは練習で獲得しやすい技術だ。その重要性を認識する捕手が増えることによっても、優劣は薄れていく。
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