横溝正史、江戸川乱歩...... 日本の本格推理小説、英米で静かなブーム ──Honkaku小説は、緻密でまるでチェスのよう.....
絶海の孤島に招かれたメンバーが、夜ごと凶刃に消えてゆく。現場の個室は内側から施錠されており、犯行はいかなる者にも不可能。しかし、室内の不自然な状況と被害者が残した不可解なメッセージに、狡猾な真犯人を暴く手がかりが隠れており......。
こんな謎めいた状況で夢中にさせてくれる日本の本格推理小説が、海外で静かなブームを生んでいる。とくにイギリスではこのところ、旧書を翻訳して再刊行する流れが活発化しており、日本の名作ミステリもこの動きにうまく乗ったようだ。驚きとドラマ性を重視する近年の海外ミステリとはまた違った趣きが受けているのだという。 その一つが、1947年刊行の横溝正史作品、『本陣殺人事件』だ。宿場町で代々要人を迎えてきた歴史ある本陣に、琴の音色とともに異様な悲鳴が響く。離れで発見されたのは、新郎新婦の無惨な血まみれの死体。雪の現場周辺に足跡はなく、完全な密室状況だが......。 本作は、かの名探偵・金田一耕助を世に送り出した名作だ。再出版ブームに乗る形で2019年にイギリスで翻訳され、『The Honjin...
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