日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の報酬過少記載事件の公判が11日、東京地裁で開かれ、証拠採用された元会長の供述調書が読み上げられた。開示を免れ、事後の受け取りを画策したと検察側が主張する「未払い報酬」について「参考の数字だ。支払いは確定していない」と反論していたことが判明した。ゴーン元会長の捜査段階の供述の詳細が明らかになるのは初めて。同事件で公判中の元代表取締役、グレッグ・ケリ
元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の報酬過少記載事件の公判が11日、東京地裁で開かれ、証拠採用された元会長の供述調書が読み上げられた。開示を免れ、事後の受け取りを画策したと検察側が主張する「未払い報酬」について「参考の数字だ。支払いは確定していない」と反論していたことが判明した。検察側の主張では、ゴーン元会長が「総報酬」「既払い報酬」「未払い報酬」を1円単位まで記し、退任後に未払い分を支払うとした書面の作成を大沼敏明・元秘書室長に指示したうえで、元会長自らが署名。高額報酬が明らかになるのを避けようと、10億円前後の既払い報酬だけを開示したとされる。
証拠採用された供述調書によると、ゴーン元会長は未払い分を含む「総報酬」とされる金額について、世界の自動車メーカーの最高経営責任者(CEO)に支払われる相場に基づき算出された自らに見合う報酬水準に近いものだと説明。総報酬と未払い報酬は「レファレンス(参考)のための数字だった」と繰り返し訴えた。一方、最初の逮捕から5日後の2018年11月24日に作られた供述調書では「(世界の自動車メーカーと比べ報酬水準が低い)日産のCEOであることで得られなかった報酬を計算したのは事実。将来のいつか合法的に支払ってもらいたかった」と言及。「適法に支払うよう周囲に頼んでいた」とも述べた。 1億円以上の役員報酬の個別開示制度については「一般株主にとって個々の取締役の報酬は重要ではない」とし、導入に反対する供述をしていた。そのうえで「大衆からの不満や従業員のモチベーション低下」を懸念し、報酬を10億円前後に抑えていたと主張した。逃亡前の公判前整理手続きでは、元会長の供述調書ついて元会長の弁護側が証拠採用を全て不同意とする方針を示していた。