[5.31 インターハイ東京都予選2回戦 東京農大一高 0-2 東京成徳大高 清瀬内山Cグラウンド] 絶対的な強さがないことは、自分たちが一番よくわかっている。だからといって、それは勝利を諦める理由にはならない。...
が並んだ3バックからきっちりビルドアップしながら、2シャドーのFW 小方駿 とMF 荒井颯太 にボールが入ると、攻撃がテンポアップ。 フィニッシュは取り切れないものの、ゲームの主導権を引き寄せる。
一方、「前半はちょっとジャイアントキリングの後遺症というか、僕らもそんなに引けとは言っていないんですけど、後ろでしっかり構えてという形になりましたね」と石川創人監督も話した東京農大一は、昨年度の選手権出場校の早稲田実高を延長戦で下した1回戦を受け、やや引き込んだ流れでスタートしたものの、早々に最終ラインを4バックから3バックにシフト。 DF出井素之進、DF佐伯瞭介、MF植田雄太郎がブロックを築きつつ、まずは守備の安定を図る。28分は東京成徳大高。
積極的に持ち運んだ千秋のミドルはDFに弾かれ、こぼれを拾った小方のシュートは枠外へ。37分も東京成徳大高。 MF鈴木凱斗のパスから、児玉が叩いたミドルはゴール右へ。39分も東京成徳大高。 MF末岡大和、MF細野真洋、FW柳澤怜とパスを繋ぎ、ここも児玉が放ったミドルは右ポストを直撃するも、少しずつ合い始めるゴールへの照準。 紫の歓喜は40+3分。
左サイドを切り裂いた鈴木がペナルティエリア内で倒され、主審はPKを指示する。 キッカーは児玉。
「ずっとPKは練習していることもあって、全員自信があると思うんですけど、僕はメチャクチャ自信があったので、自信のあるコースに、駆け引きなく蹴り込みました」。 確実に揺れたゴールネット。 東京成徳大高が1点のアドバンテージを握って、前半は終了する。 前半終了間際にリードを許した東京農大一は、ハーフタイムに再びへシステムチェンジ。
ドイスボランチはMF永原遙とDF森優多のセットに変わり、右サイドバックにはシャドーからMF八木駿征が回り、左サイドバックにはDF西田凌空がウイングバックからスライド。 センターバックには出井と佐伯を配置し、残された40分間へと向き合い直す。 6分の決定機は東京成徳大高。 細野のパスから小方の枠内シュートは、東京農大一のGK田中雄大がファインセーブで応酬すると、ここからは「前半の入りよりは良かったと思います」と石川監督も認めた東京農大一のペースに。
最前線にFW有井悠貴を置き、右からMF黒瀬来人、植田、MF永田琉春が並んだ2列目のアタッカー陣が積極的にボールを引き出し、相手陣内でのプレー時間が増加する。12分は東京農大一。 佐伯が左へ展開すると、永田のクロスはわずかに中央と合わなかったものの好トライ。21分も東京農大一。 佐伯が蹴った右FKに、飛び込んだ森はわずかに届かなかったが、少しずつ漂い始める得点の雰囲気。 嫌な流れを切り裂いたのは、途中出場のストライカー。26分。
仕掛けた鈴木のパスを受けたFW松本一飛が、左へ流れながら打ち切ったシュートはゴールへと吸い込まれる。
「後半は自分たちが受け身になってしまったんですけど、そこで『しっかり耐えよう』という話がピッチの中でできていたので、そこで守り切れたのも大きかったと思います」とは児玉。2-0。 貴重な追加点が東京成徳大高に記録される。 小さくないビハインドを負った東京農大一も、攻める。36分。 森が丁寧なスルーパスを通し、後半から投入されたFW藁谷佑太が走るも、飛び出した東京成徳大高GK矢作光汰郎が果敢にキャッチ。40+4分。
出井の右FKにFW鈴木拓海が競り勝つも、FW松村健介はさわり切れず。40+7分。 佐伯のラストパスに抜け出した植田のシュートはゴールネットに届くも、ここはオフサイドの判定。 どうしても1点が遠い。 ファイナルスコアは2-0。
「後半の入りは相手に押されてしまって、自分たちのサッカーができなかったんですけど、体力面で相手を上回れたので、勝ち切れたのかなと思います」と千秋も口にした東京成徳大高が、この日もクリーンシートを達成し、関東大会予選王者の駒澤大高が待つ準々決勝へと、力強く勝ち上がる結果となった。 「創部した時の最初の代が3年生の時に、選手権で西が丘まで行った時以来なので、ベスト8に入るのは2回目ですかね」と望月勉監督が話した東京成徳大高は、2007年度の高校選手権予選以来、実に19年ぶりとなる東京8強を手繰り寄せたが、児玉によれば今季のここまでは決して順風満帆に進んできたわけではないという。
「実は今年の新チームが始まったと同時に、いろいろな事情で1週間ぐらいサッカーできない時間があったんです。 その期間は部活の代わりにミーティングが入ったんですけど、やっぱりサッカーできないことが一番苦しかったので、そこでサッカーができることが幸せだということに、みんなが気づいたのかなって」。
「その時間でみんなで自分たち自身を見つめ直して、サッカーに対する熱意をもっと燃やそうという話ができたので、そこからはみんなが熱意を持って練習からやれていますし、今は勝ちにこだわってやれていると思います」。 改めてサッカーができる日常の価値を再確認したチームは、日々のトレーニングに向き合う姿勢から変化を施し、真剣にボールを蹴り続ける。
「僕らは中体連出身も多くて、都でベスト8に入っていたような選手の集まりではないので、そういう選手たちでここまで来るのは、夢かなと思うぐらい凄いことだと思います」と口にするのは、自身も豊島西池袋中出身の千秋。 “谷間の世代”だと言われていたという彼らの躍進には、はっきりとした理由があったというわけだ。 「今はサブに入っているGKの北村が、『自分たちが成徳の歴史に並ぶぞ! 』とか『歴史を超えるぞ!
』とか、そういう意識づけを凄くしてくれているので、そこで自分たちもそういう意識が芽生えて、『じゃあ超えてやろう』という気持ちになっているので、相手が誰であろうと、やれると思います。 僕たちはT4で、あんな格上のチームとやれる機会は本当にないので、楽しみつつ、ちゃんと勝って、AGFに行きます! 」 新たな歴史の1ページは、自分たちで書き込まないと何も記されない。 努力と根性と気合を軸に据えた、不撓不屈のパープル軍団。
サッカーへの渇望感を知る東京成徳大高が、初夏の東京に刻む躍進のストーリーは、果たしてどこまで。
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