国内外で飲酒によるがんリスクを警告する動きが活発化している。日本では昨年2月に飲酒による大腸がんの発症リスクなどをまとめたガイドラインを公表。米国では今月3日…
国内外で飲酒によるがんリスクを警告する動きが活発化している。日本では昨年2月に飲酒による大腸がんの発症リスクなどをまとめたガイドラインを公表。米国では今月3日、公衆衛生政策を指揮するマーシー医務総監が国内で売られる酒のラベルに、がんのリスクがあることを表示するよう勧告した。こうした規制強化の動きを受けてか、今年最初の取引となった6日にはアサヒビールやサッポロビールなどビール大手親会社の株価が下落する動きが目立った。マーシー氏は飲酒が大腸がんや食道がんなど少なくとも7種類のがんを引き起こすことが分かってきたと指摘。一方で、飲酒によるがんリスクの認知度は成人で45%と低いことを問題視した。米国では酒類には1988年から妊婦や運転者などへの警告表示を義務づけており、ここにがんのリスクに関する記述を加えることを勧めた。
こうした勧告が影響してか、ビール大手の6日の株価は軒並み下落した。終値で最も下げ幅が大きかったのはサッポロホールディングス(HD)で、前営業日比5・15%安の7890円となった。北米での日本製ビールのシェアが1位であることや売り上げに占める比率が高いことが反映されたとみられる。東海東京インテリジェンス・ラボの荒木健次シニアアナリストは「酒類への規制強化はビール大手にとってポジティブな要素にはならず、今回の米政府の方針も株価には多少影響している可能性はある」と分析する。 ただ、6日の東京株式市場で、日経平均株価は終値で600円近く下落するなど幅広い業種で銘柄が落ち込んでおり、荒木氏は「今回の米政府の方針だけが、大手ビールの株価下落の原因ではない」と強調。「米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令を出したことによる米国の資本主義の考え方への不信感や、金利の先行きなど複雑な要因が絡んでいる」と説明する。
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