【世界経済は庶民の肌感覚ではすでに景気後退入り】 物価上昇でカネが急速に消え、さらに消えると心配 東洋経済オンライン
アトランタ市街で美容室を経営するジーナ・パルマーさんを例に取ろう。金曜午前の店内は通常なら顧客の声でにぎやかで活気があると期待するところだが、先月下旬の金曜は、数人の従業員を除けばほとんど客はおらず静かだった。常連客は食料品やガソリンの価格が高騰する状況で子供のサマーキャンプの費用に気を取られているという。ザ・バック・インのアビー・マーシャルさんPhotographer: Joanne Coates/Bloomberg アトランタから4000マイル(約6440キロメートル)離れた英イングランド北部の田園地帯にあるパブ、ザ・バック・インの女主人、アビー・マーシャルさんも、コスト上昇への対応に追われている。昨年このパブを引き継いだ当時、彼女はインフレ率を4%と想定していたが、今では英国のインフレ率は9%を超え、急速に2桁に接近している。ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、米国で1年以内にこのような景気後退が発生するリスクを30%と試算している。ブルームバーグ・エコノミクスのモデルでは、同期間にリセッション入りする確率は38%で、その時間枠を過ぎればリスクが高まる見通しが示されている。だが、多くの人々は既に、景気後退局面が到来したと感じている。シビックサイエンスが先月実施した米国の世論調査では、3分の1以上が経済はリセッション入りしていると回答した。 中小企業の経営者や消費者の間に広がる懸念は、失業率とインフレ率を基に算出されるミザリー(悲惨)指数で鮮明になっている。ブルームバーグ・エコノミクスによれば、米国のミザリー指数は既に12.
2%と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の初期や2008年の金融危機に続く時期に見られた水準と同様だ。 英国の指数も同様に上昇しており、他の尺度も厳しい見方を反映している。コンファレンス・ボードのまとめによれば、米国の消費者の期待指数は約10年ぶりの低水準。経済協力開発機構(OECD)加盟国のセンチメントは11カ月連続で低下し、2009年以来の低水準に落ち込んでいる。その理由は世界中で広がる物価の高騰だ。生活に不可欠な食品や燃料は特に値上がりしており、家計の購買力を低下させている。中央銀行はインフレ高進に対応しているが、政策金利の引き上げが負債を抱える家計をさらに圧迫。労働者は賃金が生活費の上昇に追いついていないと不満を漏らし、そうしたいら立ちが募って既にストライキが発生した国もある。2022年も半分が過ぎた今、新たな不安が定着しつつある。インフレ圧力に加え、今年だけでなく23年までの経済成長の見通しについても懸念が強まっている。経済成長がほとんどもしくは全くみられないかあるいはさらに悪く、物価上昇は通常より急ピッチという悪い組み合わせ、スタグフレーションの観測も浮上した。 OECDは先月、22年の世界成長率見通しを4.5%から3%に下方修正し、23年についてはさらに低成長を予想。世界銀行も予想を引き下げ世界経済は「危険な状態にある」と警告した。金融市場でも警鐘が鳴っており、S&P500種株価指数は1月の高値から20%余り下落。ストックス欧州600指数は約19%値下がりしている。ほぼひっきりなしの警鐘や暗いニュースの見出しが相次ぎ、リセッション予想が自己実現的な予言になる可能性もある。 ダートマス大学教授でイングランド銀行(英中銀)の元当局者でもあるダニー・ブランチフラワー氏が共同執筆した2021年の論文によれば、ミシガン大学もしくはコンファレンス・ボードの調査に基づく米消費者の期待指数の10ポイント以上の低下は1980年代以来、リセッションの前兆だった。コンファレンス・ボードの指数は今年、30ポイント近く低下している。More stories like this are available on
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