地方移住への関心が高まっている。健康寿命の延伸とともにシニア世代の希望者も年々増えており、雄大な自然の中で第二の人生を謳歌（おうか）する人も。人手不足に悩む自治...
地方移住への関心が高まっている。健康寿命の延伸とともにシニア世代の希望者も年々増えており、雄大な自然の中で第二の人生を謳歌（おうか）する人も。人手不足に悩む自治体側も移住希望者のニーズに合わせた体験ツアーを設けたりするなど呼び込みに躍起だ。ただ、思うようになじめず移住先で孤立するケースもあり、慎重な検討が必要だ。昨年１２月に埼玉県から富山県南砺（なんと）市に移住した星野典彦さん（５１）から笑みがこぼれる。「都会での人間関係に疲れた。行ったことのない場所に住んでみたい」と、移住希望者サイトに登録したところ、最初にメッセージが来たのが、縁もゆかりもない南砺市だった。
新天地での仕事はすぐに見つかった。移住者をさまざまな仕事へ派遣する国の「特定地域づくり事業協同組合」制度を活用。人手が足りない農家の手伝いなど季節ごとの仕事で収入を得ている。年齢制限はなく、シニア世代でも仕事に困ることはないという。人口減を何とかしようと、ほかの自治体に先駆けて移住促進に向けた取り組みを進めてきた南砺市。県外からの移住者は令和３年度が１１９人、４年度が１１８人にのぼる。宝島社の月刊誌「田舎暮らしの本」の集計では、住みたい田舎の北陸エリアで８年連続１位に輝いた。 「あこがれだけで移住は難しい。四季の移ろいがある日本は、お互い協力し合って生活環境を整えている。受け入れるほうの心構えもあるが、移住者のほうにも溶け込もうとする意識が大切だ」。全国各地への移住相談を受け付けている認定ＮＰＯ法人ふるさと回帰支援センター（東京）の高橋公理事長は、こう強調する。
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