米NBAに匹敵する「夢のアリーナ」が沖縄に。30室のスイートルームも備え、バスケットボール観戦に最適化した施設です。同アリーナを本拠地とするBリーグ・琉球の木村社長が思いを語りました。
――これまで琉球が本拠地としてきた沖縄市体育館の収容人数約3000人に対し、沖縄アリーナは約8000人(バスケットボール使用時)。4月21日には初のBリーグ公式戦が行われた(新型コロナウイルス感染予防に伴う入場制限で観戦者は3521人)。
「飲食も重要だ。沖縄アリーナではおでんなどの汁物も食べられるし、待機列からコートの一部が見られるなど工夫した。Bリーグの会場ではハーフタイム中に女子トイレが大混雑するため、沖縄市体育館の約8倍となる150個の個室を用意した。最新の映像装置でエンターテインメント性を高めるだけでなく、快適性を追求して観戦体験をより豊かにする必要がある。少子化が進むのに『箱物』がいるのかという議論がよくあるが、だからこそ規模より質が重要だ。日本のスポーツ文化の未来は、画一的な観戦方法のイメージをどれだけ捨てられるかにかかっていると思う」「私がこのアリーナを発明したわけではなく、主に米国の先行事例を市の担当者らと学び、同じ理想像を持てたことが大きい。ボストン留学中の1996年にNBAセルティックスのホームアリーナを初めて訪れ、競技レベルの違い以上に雰囲気に圧倒された。これが原体験だ。その後、(当時はbjリーグの)琉球を立ち上げ、2シーズン目にリーグ優勝すると集客が伸びた。当時は県内各地の体育館を借りて日替わりサーカスのように興行しており、2009年には米国のような観客目線のアリーナの必要性を感じて動き出した」
「ワクチン(接種の見通しなど)を考えると来季もBリーグでの8000人収容は難しいかもしれないが、新アリーナのゆったりした中で見てもらえる点は安心感につながる。こういう時代だからこそ『スポーツ観戦で勇気づけられたい』という声は多く、スポーツの存在意義を感じている」「大きなイベントも大切だが、いくら有名歌手でも10日間連続でコンサートを見ようという人はそう多くはないはず。でも(結末が分からない)スポーツは10試合あれば、1試合でも多く見たいと思ってもらえる。地域の皆さんがこの施設を反復的に訪れるためにもスポーツは必要だ」 機材搬入の大型トラックが入れなかったり、試合のたびにビジョンや椅子を設置する必要があったり。興行を前提に設計されていないから、エンターテインメント性を志向するクラブほど大きな負担を強いられる。立地条件が悪ければ稼働率も伸びない。これが経費ばかりかかる「コストセンター」と批判される一因だ。