リリース当初は期待外れとの声もあった「Microsoft 365 Copilot」だが、近年は評価が変わってきているようだ。何が転換点だったのか。3人のMicrosoft MVPがその進化と活用の本質を語り合った座談会の模様をお届けする。
大企業では2025年秋から全社で一気に導入に踏み切る例が増えた印象です。 数百~数千ライセンス規模で進めていたのを、全従業員分入れてしまえと。 万単位のユーザーがいる企業でも全社導入したという話を聞くようになりました。
一方、中堅・中小企業に目を向けると別の景色が見えます。 少人数で試験導入したものの、情シスだけで触ってみて期待した成果が出せず、全社にスケールしないまま、1年後の更新時に解約してしまうケースも多く見てきました。 その背景にあるのが「期待値」の問題です。 新機能の華やかな情報を見て、期待値が上がった状態で実際に触るとがっかりしてしまう。
私はお客さまに製品の説明する際には、メーカーが上げた期待値を調整する役割だと考えています。
「ここまではできるけれど、これ以上は難しい」としっかり伝えないと、導入後にがっかりされてしまうので。 以前はCopilotが「ポンコツ」と言われ、他人に勧めにくい時期もありました。 しかし「Edit with Copilot」(以前は「エージェントモード」と呼ばれていた機能で、WordやExcel、PowerPointの各アプリ内でCopilotがファイルを直接編集する機能)をはじめとした最近のアップデートにより、ユーザーに対して胸を張って「ここまでできるんです」と言い切れるようになりました。
Copilotに限らず、生成AIを取り巻く技術全体が進化していますからね。3カ月前と今でもサービスの使い心地が全然違うので、使い続けている人と、数回使ってやめてしまった人とでは持っているイメージが違います。 OpenAIのモデル「GPT-5」の登場が大きかったですね。 以前はOpenAIが新モデルを発表して、しばらくしてからCopilotに搭載されるのが恒例でした。 Copilotで使えるようになるのは「ChatGPT」の3カ月遅れということもざらで、「別にCopilotじゃなくてもよいのでは」という感覚も世の中にはありました。
しかし、GPT-5に関してはOpenAIの発表から1時間後にMicrosoftが発表し、すぐにCopilotでも使えるようになりました。 OpenAIの新モデル発表に世間が沸くタイミングで、Copilotも一緒に注目を集めたわけです。 Copilotは企業向けの製品で普段はSNSで話題になりにくいだけに、この同時露出は意義が大きかったと感じます。 もう一つの転換点が、Copilotの裏側の仕組みの変化です。
Copilotには2つの形態があります。
「Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」といった各アプリに組み込まれているCopilotと、独立したアプリとして動作するCopilotチャットです。 以前は各アプリのCopilotはアプリごとにバラバラの都合で新機能がリリースされ、どのアプリでどの機能が使えるのか分かりにくい状況でした。 それがある時期から、各アプリのCopilotとCopilotチャットの処理基盤が統一され、新機能実装の速度が一気に上がり、できることが急速に増えました。
さらにもう一つ、利用者目線で大きな変化を挙げると、Anthropicがパートナーとして加わり、Microsoftがマルチモデル戦略を打ち出したことです。 OpenAIだけでなく、Anthropicの「Claude」など複数のAIモデルを、Copilotだけで使い分けられるようになった。 これは利用者にとって大きな違いです。 業務の起点は大抵、WordやExcel、PowerPointでファイルを作ることですから、これらのアプリのCopilotの使い勝手がユーザーの満足度を左右します。
ところが初期のWordに組み込まれているCopilotは、文章の修正を依頼しても「こうやったらいいですよ」と提案してくるだけで、本文を直接書き換えてくれませんでした。 ExcelのCopilotもセルを直接編集してくれない。
「言うだけじゃなくやってよ」とユーザーがイライラしてしまう状況でした。 ただ、そのアップデートを従業員に周知できていない企業は、「残念Copilot」のままの印象が残ってしまう。 一度悪い印象を持たれるともう使われなくなり、ライセンスを配っていても使われない、宝の持ち腐れになってしまいます。 社内で利用を推進する業務で、まさに中村さんが指摘されたパターンに直面しています。
アップデート内容がきちんと届いていない部署では、いまだに2024年のリリース直後のCopilotのイメージで止まっており「どうせ使えない」と決めつけてしまう人もいます。 だからこそ、推進担当者にとっては「ここが変わった」と具体的に伝え続けることが、改めて大事になっていると感じます。 Copilotは、ここ1年で胸を張って薦められる製品に変わりました。 あとは、その変化をいかにユーザーへ届けるか。 利用推進で大事なポイントはそこに尽きると思います。
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