10月2日に会見を開き、新社名を発表することになるジャニーズ事務所。“戦後最悪”とも言われるジャニーズ性加害事件と日本政治史に色濃く残る“ある事件”には、共通点があった。ひとりのジャーナリストが読
今からもう20年程前だが、週刊文春から、ある依頼を受けた。ジャニーズ事務所の創業者のジャニー喜多川氏、彼について、海外の大企業の見解を調べて欲しいという。 当時、文春は、喜多川氏が、事務所に所属する少年に性加害をしているとキャンペーン報道をやっていた。六本木にある自宅、「合宿所」に少年らを泊め、性的行為を繰り返しているという。 これに対し、同氏と事務所は、名誉棄損で文春を提訴した。一審の東京地裁は、名誉棄損を認め、文春に賠償金の支払いを命じた。双方が控訴し、2003年7月、東京高裁は、一転して性加害の真実性を認める。原告は上告したが、最高裁は認めず、翌年2月、高裁判決が確定した。 文春から依頼が来たのは、その頃だ。私は、編集部の記者と会い、被害の実態を聞き、訴訟記録の一部を読ませてもらった。今から思えば、海外のスポンサー企業の“外圧”を求めたのだろう。
だが、この問題が大きく報じられる前である。国際電話やメールで、欧米の企業にコンタクトしたが、ピンと来ない様子だった。その後、別の仕事でニューヨークやワシントンに行き、知人の米国人弁護士に意見を聞いた。何人かは、「それは警察に行くべき話だろ」と呆れたのを覚えている。 さらに驚いたのは、「ジャニ担」、テレビ局やスポーツ紙で、ジャニーズ事務所を担当する記者たちだった。所属タレントのネガティブな話は、とことん伏せ、追及する記者に尾行じみた真似もする。忖度とか配慮という域ではない。いずれにせよ、芸能界という特殊な世界で、異様な存在なのが強く印象に残った。それから20年が経ち、当時のことを思い出した。きっかけは、もちろん、最近の性加害報道である。 今年3月、英BBCは、「J―POPの捕食者 秘められたスキャンダル」を放送し、ジャニー喜多川氏の長年の性加害を取り上げた。翌月に、元ジャニーズJr.
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