プライバシーの観点から近年はサードパーティーCookieの利用が制限されるようになっており、Googleも「Cookieに変わる新しい広告の仕組み」を構築しようとしています。しかし、Oracleはブログの中でGoogleが実験中の「FLoC」というAPIを酷評。Googleはプライバシー向上を口実にして、競業他者を排除し、自らの優位制を強めようとしていると主張しています。
Googleはサードパーティーのブロックを明言していますが、ファーストパーティーの情報収集・利用については、この限りではありません。この「サードパーティー」「ファーストパーティー」という定義に落とし穴があるという点についてもグルック氏は指摘。
例えば誰かが父親に電話をかけるとき、「当事者」の認識は「自分」と「父親」であって通信サービスを提供するVerizonではありません。これをインターネットに置き換えれば、当事者はウェブサイトを閲覧する「ユーザー」と訪れた「ウェブサイト」になるはずですが、Googleはそこに「Google」を含めているとのこと。 FLoCはブラウザであるGoogle ChromeをベースとしたAPIです。Googleアカウントを作成したり、ChromeやAndroidを使用したりする人は、その使用に際して「Googleをファーストパーティーとして認める」という利用規約にオプトインで同意することになりますが、これによりGoogleはファーストパーティーとしてユーザーを追跡し、行動・興味・関心といった情報を集め、広告に利用することが可能になります。
記事作成時点でChromeは全世界のブラウザシェアを65%も占めており、AndroidはモバイルOSにおいて70%を超える市場シェアを占めています。「ブラウザ」と「OS」の両方を支配しているGoogleは、このような仕組みを利用すれば、Cookieを使わずに広告のための情報を集めることが可能。一方で、サードパーティーとして扱われる広告企業は排除されることになるため、Googleの独占状態は強化されることになります。