米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を巡り、国が県に代わり防衛省による地盤改良工事の申請を承認する「代執行」に向けた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部で開かれ、即日結審した。判決期日は追って指定される。即日結審により、移設の是非に関する法廷での実質的な審理は見送られ、県側は厳しい立場となった。国は10月5日、知事に承認を命令するよう同支部に提訴した。高裁が国
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を巡り、国が県に代わり防衛省による地盤改良工事の申請を承認する「代執行」に向けた訴訟の第1回口頭弁論が30日、福岡高裁那覇支部で開かれ、即日結審した。判決期日は追って指定される。国は10月5日、知事に承認を命令するよう同支部に提訴した。高裁が国の主張を正当と認めれば、県に一定期限内の承認を命じる。県が応じなければ、国は県に代わって承認する「代執行」に踏み切り、速やかに工事に着手する構えだ。
国側は口頭弁論で、県が9月4日の最高裁判決で承認の義務を負った後も承認しないのは法令違反と指摘。「安全保障と普天間の固定化の回避という重要課題に関わり、著しく公益が侵害されることは明らかだ」と述べた。「代執行の手続き以外の方法で是正を図ることは困難だ」とも主張した。 玉城デニー知事は意見陳述で「沖縄県の自主性や自立性を侵害する国の代執行は到底容認できない」と強調した。辺野古反対票が7割超に上った2019年の県民投票結果に触れ「沖縄県民の民意こそが公益として認められなければならない」と反論した。設計変更を巡っては最高裁判決が、承認しなかった県に対する国の是正指示を「適法」と判断。判決後に国は承認を求めて地方自治法に基づく「勧告」と「指示」を段階的に出したが、県が応じなかった。辺野古沿岸部の埋め立て海域は「辺野古側」と「大浦湾側」に分かれる。設計変更は大浦湾側で軟弱地盤の存在が明らかとなり、防衛省が20年4月に県に申請していた。7万本余りの杭を打ち込む地盤改良工事を加える内容だ。